HyperWorks を用いた自動車足回りの機構解析.PDF

HyperWorks を用いた自動車足回りの機構解析 金沢工業大学 工学部 機械工学科 山部 昌 同大大学院機械工学専攻大学院1 年 加藤史恭 １．目的 本研究では，タイヤと路面の接地関係を考慮したサスペンションの車両運動特性を解 析することで，考案したサスペンションが自動車の運動特性に与える影響を予測するこ とを目的としている． 近年，自動車の交通事故は社会問題の一つとなっている. 自動車の操縦安定性(以後， 操安性と略す) の向上は，交通事故を未然に防ぐ一つの手段と考えられる.そこで，自動 車の操安性を向上させる方法として，サスペンションと，タイヤと路面の接地関係に注 目した．旋回時の車両の動きを図１に示す． 図１．旋回時の車両の動き サスペンションは，車が旋回した時に図１に示すように伸縮し，車両正面から見たタ イヤの傾き（キャンバー角）と車両の上から見たタイヤの傾き（トー角）は変化する. これはタイヤと路面の接地関係を左右する．タイヤに路面が常に全面接地（接地角が常 にとなるよう対地関係を改善すれば，タイヤに加わる運動を路面へより伝えることが出 来るため，運動性能は向上し，操安性向上に貢献できると考えられる．しかし，自動車 のサスペンションを考案する上で，幾何学的にサスペンションの軌跡や動きを再現する のは困難である．そこでHyperWorks のMotionView を使用して，サスペンションを機構 解析することで，サスペンションの運動を確認すると共に，改善する点やキャンバー角 やトー角の軌跡を確認することを目的としている． ２．解析手順 解析は車両運動試験で使用した実験車両のフロントサスペンションを基準として，標 準状態のサスペンションと，操縦安定性を考案したサスペンションの機構解析を行った． 標準状態と考案したサスペンションを CAD によって幾何学的に描写したものを図 ２，３に示す．考案したサスペンションは図のように本来ナックルとサスペンションが 一体となる部分に接合部を設けて，アームを追加することによって，タイヤのキャンバ ー角やトー角を大きく変化させて，タイヤと路面の接地関係を良くするよう工夫した． 図２．標準状態のサスペンション 図３．考案したサスペンション MotionView を用いてこれらのサスペンションの機構解析を行うことで，リンクに無 理がないかや，キャンバー角やトー角の軌跡を確認した． 今回は，試験的に使用したため，寸法は実車のサスペンションの寸法を簡易的に測定 したデータを使用した．また，今回は機構を確認することを最優先としたため，サスペ ンションに加える力や各部の部品の重量と慣性モーメントはチュートリアルの数値を 参考にした．表１に今回定義した部品の重量と慣性モーメントを示す． 表１．各部品の重量と慣性モーメント Mass Ixx Iyy Izz GroundBody 0.000 0.000 0.000 0.000 LwrArm 2.000 1.000 1.000 1.000 Wheel 36.000 1750000.000 1750000.000 1000000.000 Knuckle 3.000 1.000 1.000 1.000 Tielod 1.000 30000.000 30000.000 300.000 Shock 1.000 1.000 1.000 1.000 ShockTube 1.000 1.000 1.000 1.000 各接合部は，ボディ接合部はロアアーム以外はBall Joint を用いて，タイロッドやロ アアームとナックルの付け根もステアリングを操舵する関係上，Ball Joint を用いた．サ スペンションのショッ