高知県いの町.PDFVIP

高知県いの町 19 年度-No.44 ＮＰＯ法人 土佐の森・救援隊 副業的な林業従事者を増やすことで、林業再生を目指す。簡単に林地残材を 集積・搬出することができる設備 も開発し、残材を有効利用。素人が林業に 参入する事例が続発。林業再生のモデルとして、ノウハウを各地に広げる。 副業林家を増やしたい 林業従事者は主に、森林組合などのプロ集団だけで構成されている地域が多い。 最近では一般住民に近い森林ボランティアが加わるようになってきた。プロ集団と 森林ボランティアの中間的な立場で、昔は小規模な副業型の自伐林家がたくさんい たが、今では少なくなってしまった。農業では自給農家や定年帰農等の小規模な農 家が直販所の拡大で元気になってきている。そ ういう中から専業農家に育つ人もい る。現在林業にはそういう仕組みや流れがない。森林ボランティアからいきなりプ ロになるのは難しい。森林組合等に緑の雇用で入った人たちも、定着するのはごく わずか。プロを増やすにも、副業型の小規模林家を復活させる必要がある。 プロ集団の大規模集約林業が山に負荷をかける 集約林業で間伐すると、よい太い材から伐って 5～6 割抜く。作業道は投資的行 為。施業期間だけ維持できればよい。収入間伐で採算を合わせようとすれば、こう いうやり方になってしまう。強度に抜けば風が吹けば風倒木も出る。雑に造った作 業道は大雨が降れば山を崩す。自伐林家の間伐は状況を見ながら、少しずつ間伐す る。作業道も長年使うため崩れないように丁寧に抜く。委託施業では一気に間伐 し、20 年ほど何もせず、また一気に間伐、 という施業にならざるを得ない。一気 に間伐すると山に負荷がかかる。間伐すればよいというものではない。 382 休日林業で 200 万円 自伐林家は自分所有の山であるため愛情がこもり、手入れも頻繁におこなうことに より、間伐も行き届き、下層植生も豊かな「いい森」をつくる。土壌流出や風倒木も 少ない。原木の販売は当然ながら、山を多面的に活用し、椎茸や山菜栽培もおこな う。小径木は杭にする。木工加工し商品化し販売する。サラリーマンの休日林業で年 間 200～300 万稼ぐ人も。材を出せば、そこそこ儲かる。補助金ゼロ、支援ゼロとい う中で、自伐林家が数を減らしながらも生き残ってきた理由もここにある。 高性能林業機械も必要なし 高性能林業機械を導入すると、1 人 1 日で数立方以上の材を出さなければ採算 が合わなくなる。また専業化も強いられる。そのノルマがあるので現場作業はき つくなる。 自伐林家に必要なのは林内作業車とチェンソー、ユンボと 2 トントラックぐら い。自分所有の山だか ら頻繁に山に入る。毎年継続して収入を得るために長伐期 になる。低投資で人海戦術で経費がかからないから、材価が安くてもなんとかな る。低投資なら現場作業もマイペース。参入もしやすくなる。 土佐の森方式の収集運搬 も、設備は簡易。架線をはって、ウインチとワイヤで 作業道まで引きずり出し、運搬車で運ぶ。作業道もこまめに抜 く必要はない。設 置に 20～30 分。費用が 20 万円、林内作業車が 150 万円なので、全部で 200 万 たらずの投資でできる。大きな材でもこれで運べる。ワンセッ トのキットになっ ており、森林 NPO からの引き合いもある。 ワイヤで材を引きずり出す ウインチで巻き上げる 木質バイオマスと地域通貨を組み合わせる 材を出すということから可能性が広がる。木質バイオマスと して材を出し、収 益で基金をためて、「モリ券」という地域通貨を発行した。この取組も、小規模 林業支援策として、うまく役立っている。 383 町も地域通貨を上乗せ もう少し残材の価格を上げたい。間伐をして森林