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（十一）金属プレス加工に係る技術に関する事項 １ 金属プレス加工に係る技術において達成すべき高度化目標 我が国の製造業の現状をふかんすれば、原油 ・原材料の大幅な価格変 動と安定確保の難しさ、製造 ・販売のグローバル化の加速、昨今の経済 情勢の著しい変化等の諸問題の影響を受け、製造業者は厳しい立場に置 かれている。 こうした中で、我が国製造業の国際競争力の強化及び新たな事業の創 出を図るためには、金属プレス加工に係る技術 （以下単に「金属プレス 加工技術」という。）を有する川上中小企業者 （以下 「金属プレス加工 事業者」という。）は、川下製造業者等のニーズを的確に把握し、これ までに培ってきた高い技術力を最大限に活用するとともに、当該ニーズ にこたえた研究開発に努めることが望まれる。川下製造業者等の抱える 課題及びニーズ並びにそれらを踏まえた高度化目標を以下に示す。 （１）自動車に関する事項 ①川下製造業者等の抱える課題及びニーズ 各国において環境保護の観点から自動車に対する燃費規制、排気ガ ス規制等の規制が遂次強化されている中で、最近の世界的経済の不透 明感から、自動車産業では、環境対応や徹底したコストダウンが企業 の競争力を大きく左右する状況となっている。このため、自動車の軽 量化、ハイブリッドシステムの効率向上、バッテリー、モーターその 他電子機器の効率向上等が必要となる。 また、自動車が本来持つ機能上の付加価値を創出することや多様化 する顧客ニーズにこたえるために、デザイン形状や衝突安全性の高度 化、短納期開発 ・フレキシブルな生産も重要な事項となっている。 さらに近年では自動車のリサイクル性等への配慮も必要となってい る。このため、自動車に関し、以下の課題が具体化してきている。 ア．低コスト化 イ．複雑形状化 ・一体化成形 ウ．衝突時の安全性向上 エ．短納期化 オ．軽量化 カ．フレキシブル生産 キ．環境配慮 ②高度化目標 自動車の主な構成要素は、エンジン部品、車体部品、懸架 ・制動部 品、駆動部品等であり、金属プレス加工技術はそれらの部品を効率的 - 1 - に生産するための技術として用いられている。①を踏まえた金属プレ ス加工技術の高度化目標は、以下のとおりである。 ア．複雑３次元形状等を創成する金型及び一体成形技術の構築 イ．高張力鋼板、アルミニウム合金等の難加工材に対応した金型及 び成形技術の構築 ウ．シミュレーション技術と融合させた高度知能化プレス生産シス テムの構築 エ．テーラードブランク材の成形やハイドロフォーミング成形等の 成形技術の向上 オ．複合加工、部品組立て及び工程短縮等を可能とする技術の向上 カ．材料歩留まりの向上に寄与する技術の開発 キ．自動検査技術の確立 ク．プレス機械の精度 ・剛性 ・運転性能 ・知能化等の高機能化 ケ．金型 ・工具の高機能化及び耐久性の向上 コ．ＩＴを活用した生産技術の向上 サ．環境配慮に対応した技術の開発 （２）情報家電に関する事項 ①川下製造業者等の抱える課題及びニーズ 情報技術の進展や製品の高機能化により、電子部品の高集積化 ・高 密度化が進展しており、精密化や微細化に対応した製造技術を確立し ていくことが必要となっている。また、微細化された電子部品等の稼 動時の発熱等にも対応していく必要がある。 携帯電話やモバイルパソコン等については、小型化 ・軽量化はもち ろんのこと、多様化する嗜好に対応していくことが必要となる。家庭 内機器においては小型化 ・軽量化に加え、省エネルギー対策 ・静音化 に対応していくことも必要である。また、顧客ニーズへ迅速に対応す るために、短納期開発 ・生産が必要となるとともに、近年ではリサイ クル性等、環境への配慮も必要となっている。さらにグローバル化に 伴うコスト競争は極めて厳しいものがあり、コスト低減の不断の努力 が求められている。このため、情報家電に関し、以下の課題