神经ペプチドy(npy).pdfVIP

●総 説● 神経ペプチドＹ(NPY)の 生理機能と遺伝子発現 樋口宗史 神経系が形成されたのちに,神経細胞内で神経特異遺伝子がどのように発現調節される e c かはまだ未解決の問題である。交感神経のコトランスミッターであり,中枢神経系に豊富 i v に存在する神経ペプチドY(NPY)遺 伝子の,神経特異シグナルによる発現調節を調べた。 r e Se 生体内ではNPY遺 伝子発現はチロシンヒドロキシラーゼ(TH)遺 伝子のそれによく似て n i いた。交感神経の活動増加やNGFに よる交感神経の分化時にNPY遺伝子転写活性化が著 l n O しく誘導された。この2つのNPY遺 伝子転写活性化機構にはCa2+とMAPKを 介する新し e c n い転写活性化機構があるようである。 e i c S 【神経ペプチ ド】【転写】【Ca2+/カルモジュリン】 e Key words f i L r o f はじめに 神経ペプチ ドY(neuropeptideY;NPY) r 経ペプチドYと 命名した6)。NPYは このように化学的 e t は中枢神経系においてオピオイドペプチドに匹敵する 検出法で分離 ・同定されたペプチドであり,当 初から n ee C くらい,最 も豊富に最も広範に発現する神経ペプチド 中枢神経系に最も豊富に存在する神経ペプチドである s a b である。とくに視床下部,大 脳皮質,海 馬に多 く存在 ことが知られ興味がもたれていた。さらにその1次 構 a t し,視 床下部ホルモンの遊離調節,食 欲,記 憶,血 圧 造が決定されると,以 前に膵臓から分離され,膵 外分 a D 調節に関与している～3)。 泌を抑制することが知 られていた膵臓ポリペプチ ド 一方,末 梢神経系では,NPYは 交感神経に広く分布 しカテコールアミンのコトランスミッターとして働 く していることが明らかになった7)。これら3種 のペプチ ことが知 られている。とくに血管周囲交感神経や副腎 ドはいずれも36個 のアミノ酸からなり,NPYに 対し, クロマフィン細胞に豊富に存在し,NPYは 末梢ではノPYYは69%,PPは50%の アミノ酸の相同性をもち, ルア ドレナリンと協調して持続性の血管収縮を起 こす PPも しくはNPYフ ァミリーと称される。最近のNPY, ことが知 られている3,4)。 このペプチドの発見は,1978年 に立元らがαアミドこれら3つ のペプチドとその遺伝子は高度に系統的に 化アミノ酸の2次 元薄層クロマト同定法を開発したこ 保存されており,こ れらは共通の祖先遺伝子から遺伝 とに始まる。この方法を用いて,彼 らはいろいろなα 子重複によって生まれたと考えられ