教谕芜尻千佳子旨-saga.PDF

テーマＡ－１ 【小学校 国語】 鹿島市立七浦小学校 教諭 蕪尻 千佳子 要 旨 文学的な文章の学習において，言語活動の特質を踏まえて教材の特徴に合った言語活動を位置付 け，言語活動のよさを話し合わせると児童の読む活動と伝え合う活動の意欲は高まった。児童が言 語活動に応じてどのように思考し表現するのかを考え，言語活動の様式に応じたアウトラインを踏 まえて読み方・表し方の技を提示し，考えを書かせた。その結果，児童は，考えを明確にもつこと ができた。そして，意欲的に交流活動をし自分の読みの変容に気付くことができ，学習の成就感を もった。このような実践を続ければ，児童は，確かに読む力を身に付け主体的に表現すると考える。 〈キーワード〉 ①言語活動 ②学習意欲 ③確かに読む力 ④主体的な表現 １ 研究の目標 確かに読み，主体的に表現する児童を育成するために，文学的な文章の学習において，言語活動を 効果的に位置付けた単元の在り方を探る。 ２ 目標設定の趣旨 平成20年３月に示された学習指導要領では，基礎的・基本的な知識・技能を身に付け，それらを活 用する学習を通して思考力・判断力・表現力等をはぐくむことがねらいとされている。さらに，それ ぞれの領域の内容に，言語活動例が具体的に位置付けられ，知識・技能を活用する言語活動の充実が 重視されている。平成22年度佐賀県教育の基本方針にも，同様のことが明記され，さらに，「学ぶこ １） との目的意識や興味関心を持たせ，学習意欲を向上させることが必要」 と示されている。 平成21年度の全国学力・学習状況調査では，佐賀県の「活用」に関するＢ問題に課題があり，３領 域１事項すべての項目において，全国平均を下回っていた。平成21年度の佐賀県小・中学校学習状況 調査では，小学校５年生において，「読むこと」の領域で，物語などの文学的文章の情景描写や心情の 変化をとらえる力に課題が見られた。「書くこと」の領域では，報告文のまとめとして，調べて分かっ たことを書く等の正答率が低かった。このことは，言語活動を単元に位置付けていても，児童に学ぶ ことの必然性を感じ取らせていなかったり，身に付けさせたい力と言語活動が合致していなかったり して，児童の考えを深める指導が充実していなかったことも一要因と考えられる。 そこで，本研究では，「読むこと」の文学的な文章の学習において，確かに読み，主体的に表現する 児童の育成をめざし，言語活動を効果的に位置付けた単元の在り方を探ることにした。文学的な文章 において，確かに読み，主体的に表現するとは，叙述を基に登場人物の心情や性格，人物像，相互関 係，情景の移り変わりなどを想像して読み，優れた叙述について自分の考えを明確にもち，相手意識 をもって，目的や意図に合わせて方法を適切に選び，意欲的に考えを伝え合おうとすることである。 以上のことから，上記のような目標を設定し，研究を進めることとした。 ３ 研究の仮説 文学的な文章の学習において，身に付けさせたい力と教材の特徴にあった言語活動を児童の学習活 動に位置付け，学習の必然性をもたせ, 交流の場面と自己評価・相互評価を絡めて指導過程の工夫を 行えば, 確かに読み，主体的に表現する児童を育成することができるであろう。 ４ 研究方法 (1) 思考力 ・判断力・表現力を育成するための国語科学習指導方法や評価等に関する理論研究 - 11 - (2) 所属校４年生の児童の実態調査と，仮説を検証するための，所属校４年生における単元「世界一 美しいぼくの村」(５時間) 「ごんぎつね」(５時間)の授業実践 (3) 授業実践と手立ての有効性についての分析・考察 ５ 研究内容 (1) 小学校学習指導要領解説国語編の指導内容の系統性を踏まえ，文献や研究紀要等を通して，思考 力 ・判断力・表現力を育成するための国語科学習指導方法や評価に関する理論研究を行う。 (2) 所属校４年生の国語の意識調査や語彙の獲得状況，言語活動についての実態調査を基に，学習の