香川県标-kinsei.PDFVIP

香川県 標を大量に建立した人物は、初期の真念、後期の武 田徳右衛門と照蓮の3 人で、うち真念建立の道標は、 現存37 基（徳島12、高知5、愛媛9、香川12）、徳 街道１ 右衛門建立の道標は、現存 129 基（徳島 20、高知 香川の街道遺産の最大の特徴は、江戸期でも重要 28、愛媛67、香川14）である（真念道標は17 世紀 な２つの信仰の道、“四国遍路”と“金毘羅参詣”の の道標群という意味でも特異な存在である。照蓮道 関連遺構がパラレルに存在している点である。他の 標については徳島県で紹介する）。 四国３県には四国遍路はあっても、金毘羅参詣は愛 真言宗の僧・真念は、自ら巡礼を重ねる中で遍路 媛に一部見られるに留まる。 道が未整備であることを知り、庶民向けに四国遍路 遺構の中で、常夜灯は遍路道にはなく、金毘羅道 を紹介した『四國邊路道指南』（1687）を出版、八 に限定される。その金毘羅常夜灯は、四国の玄関で 十八箇寺を初めて特定し札所番号を付けたと言 ある港と金毘羅宮を結ぶ丸亀道、多度津道、宇多津 われている。武田徳右衛門は愛媛の農民で、家族の 道、それに、高松と松山を結ぶ東西方向の讃岐街道 不幸が続いたことから一念発起して 12 年がかりで などの沿道に多数建立された。中でも、丸亀道関連 道標の建てたとされる。香川県には良好な状態に保 では、金毘羅参詣の拠点として賑わった新堀湛甫（丸 たれた両者の 亀港）に、高さ7.09ｍの青銅製の金毘羅常夜灯 （丸 道標が残って 亀市、天保9 （1838）） 〔左下の写真〕が千人以上の いる。代表例は、 寄進で建立された他、沿道にも与北町の金毘羅常夜 出作町の真念 灯 （善通寺市、文政 11 （1828））A 〔下の写真〕な 道標 （観音寺市、 どの大型常夜灯が数多く建立された。 1680 年代?）A 〔右の写真〕と 街道２ 屋島東町の徳 香川で最も重要な街道遺産である道標は、構成が 右衛門道標 （高 より複雑なので、①遍路道標、②金毘羅道標の順に 松市、寛政 12 解説する。①の遍路道標は、さらに、特定の個人が （1800））C 〔右 建立したものと、単発的に寄進・建立されたものに 下の写真〕であ 大別できる。前者について見ると、江戸期に遍路道 る。 単発的な遍路道標は 50 基程度とそれほど多くは 点石があり、丸亀→金毘羅 （6 基）に向かって丁数 ない。理由は後述するように、札所への距離を示す が減っていく （逆順）。右上の写真は丸亀の起点石だ 町石がその代わりを務めているからで、県下の町石 が、目的地・金毘羅までの距離「百五拾丁」が刻ま は224 基がリストアップされている。単発の遍路道 れている。多度津道には、琴平側にしか起点石がな 標で最も立派なものは、高屋町の道標 （坂出市、寛 く、途中の町石も残存数は少ない。 政 6 （1794））A 〔左上の写真〕で、「すく遍ん路ミ ち」の右面に、各所への距離が細かく記されている。 農業１ ②の金毘羅道標では、状況はかなり異なる