身近な廃弃物処理と公害.PDF

寄 稿 身 近 な 廃 棄 物 処 理 と 公 害 公害等調整委員会公害苦情相談アドバイザー 東京都武蔵野市環境政策課 石 原 雅 典 １ はじめに 皆さんこんにちは。私は東京都武蔵野市環境政策課の石原雅典です。廃棄物と公害 部署を永年勤めて定年を迎えました。ひと区切り後の現在も、市の再任用で公害相談 業務を続けながら、公害等調整委員会で公害苦情相談アドバイザーをお受けしていま す。その経験の中で感じたことをあれこれ思い出し、廃棄物に関連した特徴的な公害 問題を綴ってみたいと思います。 大規模である政令指定都市や都道府県と異なり、一般市町村では公害や廃棄物処理 の専門的職員は配置されておらず、その職に配置されてから種々の知識を得、相談者 に回答したり、対象者へ指示や要請したりするのが通常です。そのため、廃棄物と公 害について文にしました。 ２ 廃棄物と公害 廃棄物（＝ごみ）はどんな時代にも発生します。古くは貝塚遺跡があることからも わかります。遠い昔の貝塚であれば公害問題は起こりませんが、現在の大量消費時代 では、貝殻でも多 図１ GDP とごみ排出量 量に貯留保管や廃 棄をすることで公 害問題に発展しま す。ごみは一般に 経済状況と比例し 量も多くなります。 （図１）また、ご みは臭いや衛生面 から嫌われる存在 として、身近な公 害問題になります。 ごみには費用をかけたくないのは当然ですから、量が多ければ一時的な貯留であっ ても腐敗臭、運搬時の重機音等油断すると必ず公害問題に発展します。ごみは都市部 で大量に発生し、郊外へ移動する特徴を持ちます。化学材料や多種多様な合成物質も あって、土中に残存すれば、数十年でも分解されず、長期に渡って土壌汚染や地下水 汚染に至ることが懸念されます。過去を振り返ると、今日では許されていませんが、 1970 年代までは自己管理地であればそのまま埋め立てても良かったのです。なんと 40 年ほど前まではいい加減なものだったのです。各種の化学物質を使い始めたころから 大量消費と重なり、ごみは公害面で関連を持ち始めてきました。 現在、注目されている土壌汚染や海洋汚染を考えると、ごみの放置には、負の遺産 が隠れていることになります。自然界と同程度の有機質や無機質だけであれば土中に て一定期間で分解され、どこにでもある土壌になって後世に憂いを残しません。しか し、化学物質やプラスチックは人工物であり、自然界では分解しにくく、長期にわた って原材料・素材がそのままになってしまいます。地下水はゆっくりした動きで地中 深く流れています。化学物質の問題は長期にわたる被害や環境破壊の拡大を招きかね ず、このため、2002 年土壌汚染対策法が制定されました。河川から海域への堆積も同 様でしょう。 当然、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」（廃棄物処理法）は、その時その時の 時代に応じて基準も強化されています。しかし基準が変更されても徹底が図れるまで 時間もかかりますし、守らない不届き者も暗躍するのが現実です。これは罰則が強化 されていることから推察できます。今でもリサイクルを目的として産業廃棄物の建設 廃材を自己所有地に一時保管する形で、廃棄物保管場所的なものが出現したり、汚染 土壌が放置されたりする危惧が残っている現実があります。 注意すべきごみに関連する事象としては、どのようなものを考えれば良いでしょう か。身近であるがゆえに、どんな市町村もごみに起因する生活苦情的な簡易焼却や農 家の野焼き等、雑多な問題を公害苦情として受け付けているはずです。市町村が運搬 処理をしている家庭からのごみや中小事業所のごみは、解決困難な不安要素が比較的 少ないものです。これらの相談内容は被害程度の大小を考慮し、生命財産への影響が あるかどうかを念頭に、少量一過性のものについては対象者への協力を求めることで 収めれば良いと感じます。野焼きを 1999 年のダイ