枪ヶ岳黄金平.doc

槍ヶ岳（黄金平） 　１０月は、８日の「体育の日」絡みの連休がある。「何処へ行こうか」と迷っているとき、山仲間の口から黄金平の名をきいた。このとき、?今度の休みは、黄金平へ行こう?と、刹那的に目的地が決まる。 　黄金平というのは、横尾本谷の源頭部にある平らな草原のことである。このルートは、一般登山道ではないので、人は殆ど入らないために、「北アルプスに残された最後の楽園」というキャッチフレーズが付いている。 　一昨年の９月１８日、私は姫の供をして、この黄金平へ初めて行った。この日は、この草原にテントを張って泊まったが、この広い草原には私たちのほかには誰もおらず、静寂の中で中秋の明月を愛でることが出来、これまでの中でも最高の部類に属する山行きとなった。でも、このときは、１泊２日の行程しか取れず、翌日、慌ただしく帰ったので、次は、２泊３日で槍ヶ岳へも立ち寄ろうと決めていた。 　このため、姫の店を６日の土曜日を臨時休業にして、６、７、８日の３連休を作り出す。そして、黄金平から槍ヶ岳へ行く計画を立てる。先々週、西鎌尾根から槍ヶ岳。帰りは飛騨沢を降りているので、このときと重複しないように、復路は中崎尾根から奥丸山新道で降りることにする。 　したがって、今回のルートは、前回とはまったく異なり、上高地→横尾本谷右俣→黄金平→横尾尾根→槍?穂高主稜線→中岳→大喰岳→槍ヶ岳→西鎌尾根→千丈乗越→中崎尾根→奥丸山→奥丸山新道→新穂高温泉という周回コースにした。ちなみに、車は、上高地と新穂高温泉からほぼ等距離にある平湯温泉の「あかんだな駐車場」に置くことにする。 《１０月６日》 　あかんだな駐車場に、３時頃に到着する。既に、駐車場が開くのを待っている車が、路肩に長い列を作っているので、私たちもこの列の最後尾に停めて仮眠する。 　辺りがほんのりと白み始めた頃、車が移動し始めて騒がしくなり、これにより起される。そして、車の動きに従うと、駐車場へと入っていく。この駐車場は、入口ゲートで入場券を受け取り、出るときに清算する方式である。料金は、１日５００円である。ちなみに、この駐車場の名称が変わっているが、これは、駐車場があかんだな山の麓にあるから、この山の名前を採って付けられただけで、その他の意味はない。 場内の適当な場所に車を駐車させて、身支度を整える。といっても、２人とも名古屋を出るときに山服を身に着けているので、靴を履くのみであるが……。 　この日の私の服装を書いておく。上は、半袖のティシャツのみ。下が、ブリーフとニッカボッカの夏用登山ズボン。足は、毛糸（化繊）のニッカホースに重登山靴。手は、軍手。頭は、野球帽。これが身に着けている総てである。これだけでは、外に出ると寒いが、直ぐにバスに乗るので、長袖のシャツを着ることなく、バス停に向かう。 　上高地行きの１番バスは、５時２０分である。前回は、これに乗り遅れたが、今回は余裕で間に合った。比較的、前のほうに並んだので、一番奥の席に座れ、大きなザックは座席後ろの荷物置場（？）に置くことが出来、膝に乗せなくてもよくて助かった。ちなみに、バスは、補助席を全部使うほど満員で、前のほうのザックを持った人は膝の上で抱えた不自由な姿勢でいかなければならなかった。このバスに乗って、一番後ろから乗客を眺めていたら、不思議なことに気が付いた。乗客のうち、半数か、それ以上が一般の観光客が占めていることである。こんな朝早く、観光客が上高地へ押し掛けるとは思ってもみなかったので、少し奇異な感じを抱いた。 　あかんだな駐車馬から平湯温泉間は、無料のシャトルバスが運行されているので、本来なら平湯温泉で乗り換えなければならない。しかし、ここ始発の上高地行きにかぎり、あかんだな駐車馬から上高地へ直行してくれるので、大きい荷物をもっているときには大いに助かる。ちなみに、平湯温泉から新穂高温泉へ行くときには、このようなサービスはしておらず、帰りには乗り換えなくてはならなかった。 　平湯温泉から安房トンネルを抜けると、焼岳登山口になっている中の湯である。ここから鎌トンネルを通って上高地へと入っていく。この間、所要時間は、概ね２５分である。ちなみに、運賃は、大人１０５０円（往復は１８００円）である。 　上高地バスセンターに、５時４５分頃、到着する。沢渡からのバスが既に先着しているのか、早朝とはいえ、既に多くの人がいて、辺りは活気に満ちている。ハスから降りると、冷気が露出した肌を刺し、ゾクッとする。あかんだな駐車馬より寒い感じである。寒さには強い部類に属する私でも、これには降参である。ザックの中から長袖のシャツを取り出して着る。 　５時５０分、バスセンターの便所の前を出発する。まずは、河童橋へ向かう。ここから河童橋へ向かうには、大きく分けて３本の道あ