手足口病について-大阪府立公众卫生研究所.pdfVIP

2016 年 12 月 22 日発行 大 阪 府 立 公 衆 衛 生 研 究 所 No 60 平成 28 年 12 月 もくじ □ 乳幼児期の身近なウイルス感染症 －手足口病について－･･･ １ □ 水銀について･････････････････････････････････････････････････３ 乳幼児期の身近なウイルス感染症 －手足口病について－ 注1 ： ウイルス感染症にはワクチンで予防可能なものと、ワクチンが エンテロウイルス 71 型 未だに開発されていないものがあります。代表的なワクチンで予 （EV71）不活化ワクチン 防可能な感染症として、麻疹、風疹、日本脳炎、水痘 ( みずぼう （ヒト2 倍体細胞ワクチ そう) 、流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ) 、ロタウイルス胃腸炎等が ン）：2015 年12 月、中国 において EV71 による手 あります。一方で、ワクチンが無い感染症としてノロウイルス感 足口病予防に有効なワク 染症、手足口病（エンテロウイルス 71 （EV71 ）を除く(注 1)）、 チンが承認されました。 ヘルパンギーナ(注 2 ) 、突発性発疹、伝染性紅斑 ( りんご病) 、咽 注2 ： 頭結膜熱 ( プール熱) 等があります。本稿では、近年隔年で大規 発熱と口腔粘膜に出現す 模な流行が発生している手足口病について説明します。 る水疱性発疹を特徴と し、夏期に流行する小児 手足口病とは の急性ウイルス性咽頭 手足口病は、ウイルス感染に起因する手・足・口内に発疹を起 炎。 こす疾患です。感染症法(注 3 ) では、5 類感染症の小児科定点把握 注3 ： 疾患に分類され、全国約 3,000 箇所の小児科定点医療機関で患者 感染症の予防及び感染症 の発生動向が調査されています。大阪府内では、2010 ～2015 年の の患者に対する医療に関 する法律。 6 年間に 77 , 146 人の患者報告があり、2011 年、2013 年、2015 年 と隔年での流行が確認されました。手足口病患者の年齢は 5 歳以 注4 ： 下が全患者の 88.8% 、特に 1 歳以下が 37.2% を占めており、患者 発熱、頭痛、嘔吐の 3 主 の発生は 6 ～8 月に集中していました。 徴、後部硬直などの髄膜 刺激徴候の存在、髄液一 手足口病の主要な原因ウイルスは、ピコルナウイルス科エンテ 般検査での典型的な所見 ロウイルス属に属する EV71 とコクサッキーウイルス A16 が認められ、髄液の塗抹、 (CVA16) ですが、上記流行年に大阪市立環境科学研究所に搬入さ 細菌培養で細菌を検出し ないことにより診断され れた手足口病の患者検体からは、それぞれ 57.1% (12/21) 、42.9% る症候群。 (3/7)、64.0% (16/25) の割合でコクサッキーウイルス A6 (