岛地灾害救援活动実态応援技.pdfVIP

レイテ島地すべり災害における救援活動の実態と応援技術の性能調査 実施期間 平成 18 年度 地理地殻活動研究センター 地理情報解析研究室 小荒井 衛 佐藤 浩 神谷 泉 長谷川 裕之 １．はじめに 2006 年２月 17 日に発生したフィリピン国南レイテ州サンフェルナルド市における大規模地すべり災害 に関連して，各種衛星画像を活用した地形的な特徴の把握と現地調査を行った．現地調査は，内閣府災害 対策総合推進調整費「レイテ島地すべり災害における救援活動の実態と応援技術の性能調査」の予算を使 い，平成 19 年の１月 29 日～２月３日に，消防庁消防研究センター，国土技術政策総合研究所，国土地理 院の３機関共同で行った． ２．研究内容 災害後の高分解能人工衛星画像を使って，画像判読や地形計測を行い，今回の山体崩壊災害の地形的特 徴を把握した．また，災害前の地形を航空写真や地形図等を活用して把握して，災害発生の地形的条件を 把握した．現地調査では，衛星画像をジオコーディングするために，災害域周辺の道路交差点・橋梁等の GCP で GPS 測量を行った．また，堆積域に置いて現地地形計測と地形地質踏査を行った． ３．得られた成果 ３．１ 今回の調査で収集した災害前の地形資料 ・レイテ島地すべり周辺５万分１地形図 フィリピン測量局（NAMRIA）が作成した５万分１地形図を基に，国土地理院が編集して作成 ・STRM の DEM （90ｍ解像度） ・NAMRIAの５万分１地形図から作成した DEM（20ｍ解像度） ・1950年代の米軍空中写真（２コース）1952 年７月及び９月撮影 縮尺約 1/35,000 ３．２ 災害後の衛星画像の判読と現地調査結果との比較 今回活用した高分解能衛星画像は，以下の通りである． ・Quick Bird単画像パンシャープン 2006 年４月 16 日，18 日 ・ALOS PRISM画像（前方視，直下視，後方視） 2006 年 10 月 10 日 Quick Bird 画像はオフナディア角が 40°以上と大きく，実質的な地上分解能は 1.5～２ｍ程度であるが， カラー画像であるため各堆積域の色調の違いが明瞭である．大きく崩壊域・流走域・堆積域に３区分でき， 流れ山地形の存在も確認できる．流れ山地形は，概ね下流に行くほど大きさ（長径・短径・比高）が小さ くなっている（図－１）．現地の大型の流れ山の写真を図－２に示す．また，土砂に埋もれて倒壊した建 物等が現地で確認できたが，Quick Bird 画像でもその存在は確認できる（図－３）．ただし単画像である ために倒壊状況については画像だけでは判断困難である．土砂堆積物の末端では流れ山がまとまって一連 の帯状に配列して凹部は帯水しており，しわ状の地形が衛星画像で確認できる（図－１）． 一方，ALOS PRISM 画像は，崩壊部が雲に覆われており，流走域の一部と堆積域のみ判読が可能である． 分解能が 2.5ｍとやや粗く細かい地形の判読は困難であるが，実体視が可能であるため，流山地形等の高 低感が決め手になる地形の判読は容易である． いくつかの流れ山において，断面の地質構造を観察することが出来た．火山砕屑岩や火山岩塊等の元の 火山体構造が確認でき，火山岩塊にはジグソーパズル構造が認められる（図－４）．このような堆積物の 特徴は，火山体の大規模山体崩壊による岩屑なだれ堆積物に見られるものである．従って，今回の地形災 害は大規模山体崩壊に伴う岩屑なだれが発生したものと判断される． 図－１ 土砂災害域の Quick Bird 画像 図－２ 大型の流れ山の現地写真 図－３ Quick Bird で判読できる建物被害