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第１２課 ソフトウェアの品質管理 ソフトウェアの品質特性 ソフトウェアの品質の善し悪しは、システム全体に大きく影響を及ぼします。ISO(国際標準化機構)では、ソフトウェアの品質特性の尺度として次の6つを定めています。 ①機能性(functionality) 仕様書通りに実際に稼働するかを示すものをいいます。特に、機能性の品質は上流過程のシステム分析における要求仕様によって左右されます。 ②信頼性(reliability) ソフトウェアが仕様書通りに故障することなく正確な動作をするか、また故障時には、すぐに復旧できるバックアップ体制がとられているかを示したものをいいます。信頼性の品質評価は、テスト工程が大きな要因となります。 ③使用性(usability) ソフトウェアを操作するにあたり、ユーザにとっていかに使いやすいものとなっているかを示したものをいいます。ユーザインタフェースをいかに充実させるかが重要です。 ④効率性(efficiency) プログラムを稼働したとき、コンピュータシステムの資源をいかに効率よく使用しているか示したものをいいます。ターンアラウンドタイム(turn around time)やレスポンスタイムの短縮といった時間経済性による評価と、主記憶装置のメモリや補助記憶装置の有効利用などの資源経済性による2つの評価があります。 ⑤保守性(maintainability) ソフトウェアに修正を施す場合、いかに修正しやすいかを示したものをいいます。ソフトウェアは、使用していくにつれ、さまざまな理由によるエラーや仕様変更による保守作業が生じます。このような事態を容易に解決できるように、保守しやすい構造化設計によるプログラム作成が必要となります。 ⑥移植性(portabiIity) システムの入れ替えや動作環境の変化に対して、いかに容易にソフトウェアの移植ができるかを示したものをいいます。特に、他機種に移植する場合、なるべくJIS(Japanese Industrial Standard)規格による標準仕様に沿ってプログラミングすることが望まれます。 レビュー review 人間がプログラミングリストや資料を元に討議し、あいまいな点や問題点を発見する方法をいいます。レビューは、開発者自身が気づかなかった問題点も第三者の指摘により発見できるので、早期発見、改善として効果的です。代表的なレビューとして次のようなものがあります。 ウォークスルー　walk-through システム仕様書やプログラム設計書などにミスはないか、担当者が複数の人間を前に説明を行い、検討することによって、見落としを防ごうとする方法です。 インスペクション　inspection 完成したプログラムを実行する前に、モデレータ(moderator:管理者)を中心とした管理統括のもとで、大きな誤りがないか、プログラム仕様とコーディング内容をもう一度比較する方法です。 成長曲線 ソフトウェアのエラー発生件数と期間は成長曲線(バグ曲線)に近似しています。成長曲線はS字カーブともいわれます。最初はエラー件数が少ないのですが、ある時期から急速に増え、最終的に収束していく傾向にあります。 プログラムテスト プログラムテストの種類 プログラムテストとは、作成したプログラムが、机上で設計したアルゴリズム通りに稼働するか、システムの運用に十分耐えられるかを検査するものです。プログラムテストでは、さまざまなケースを想定して、実際のデータやシミュレーションデータを使用し、繰り返し行うことでプログラムに潜んでいるバグ(bug)を見つけ出していきます。高品質なプログラムを開発するためには、十分なテストが必要であり、このプログラムテストは、プログラム開発工程の半分以上を有するほど重要なウエイトを占めています。このプログラムテストは、通常、単体テスト、結合テスト、システムテスト、運用テストの順に行われます。 単体テストunit　test 1つのモジュールが仕様書通りに正しく動作するか事前にテストするものです。モジュールを結合してからでは、プログラムエラーは見つけにくくなります。そこで、プログラムを実行させるためのテストデータを作成し、入力することにより、その出力結果からアルゴリズムを検査します。単体テストには、ブラックボックステストやホワイトボックステストがあります。 ①ブラックボックステスト(black　box　test) プログラムの外部仕様(ユーザインタフェース)に着目します。プログラムをブラックボックス化し、入力と出力との関係が仕様通りになっているかチェックするテストです。 また、ブラックボックステストはモジュール間のインタフェースのテストをする上で、結合テストで使用することも