防災建築街区再生支援制度の研究－富山県氷見市中央町を例として－概要.pdfVIP

防災建築街区再生支援制度の研究－富山県氷見市中央町を例として－ 概 要 金沢工業大学 環境・建築学部 教授 円満隆平 1．研究の背景 具体的には、富山県氷見市を対象地として、市が 地方都市の中心市街地の衰退が全国的な問題とな 抱える問題や地域資源を把握し、街の中心部に位置 って久しい。今後ますます進む高齢化や、若者の流 する氷見市中央町の「防災建築街区」の市民事業に 出に対応していくためにも、中心市街地の再生は急 よる再生を核とし、氷見の中心市街地の中心約 2 ㎞ 務と言える。 にわたる商店街の空き店舗対策・活性化案も合わせ、 1961 年施行の防災建築街区造成法により多数建 氷見市の中心市街地全体としての再生・活性化計画 設された鉄筋コンクリート造長屋式の主に店舗併用 案を示すことを目的とする。 住宅の老朽化が全国的な問題となっている。街の中 また、防災建築街区の再生や商店街の空き店舗対 心に位置する場合が多いという固有の特性上、防災 策・活性化を実行する上で、中心的な役割を果たす 建築街区の老朽化は中心市街地衰退の一つの要因に ことが期待される「まちづくり組織（広義のＴＭＯ)」 なっている。権利関係が複雑である場合が多く、改 の検討も行い、より、実行性の高い提案とする。 修や建替えが進んでおらず、防災建築街区の造成さ 「防災建築街区」は防災建築街区造成法に基づき、 れた時期を考えると、建物の物理的な寿命まであと 昭和 40年代に日本全国 105都市、全 618街区で建設 10年程とその再生・建替えは喫緊の課題である。 され、現在、建替えや再生などが進まず、全国各地 で問題となっている。本研究は富山県氷見市中央町 2．研究の目的・位置づけ の防災建築街区を例として、「防災建築街区」の有効 本研究では、富山県氷見市を例として、地方都市 な活用方法、再生計画の事業手法を検討するという の中心市街地を再生させる具体的な計画を提案する ことも目的とする。 ことを目的とする。中心市街地の再生策といっても、 再生計画案の検討にあたっては、地域住民の 様々な策があるが、本研究では主に以下の 3 つの観 方々・市役所・商工会議所・青年会議所等と意見の 点から再生計画案を提案する。 交換を重ねながら、随時計画にその意見を反映させ ① 「市民事業」による開発 た。また、防災建築街区の再生に関しては計画実行 （氷見市中央町防災建築街区の改修・再生） のための事業スキームを検討し、それに沿って事業 ② 中心商店街の空き店舗対策・活性化 収支試算を行うことで、より現実性の高い案として ③ まちづくり組織（広義のＴＭＯ）の検討 いくことを試みた。 3．研究の流れと方法