日本水文科学会设立30周年记念学术大会30周年记念.pdf

2017 年度 日本水文科学会 設立 30 周年記念学術大会 30 周年記念 レビューポスター 要旨集 2017 年 10 月 1 日 駒澤大学 1 プログラム ・ 目次 ＜周辺学術分野と水文科学＞ SP1 森林における水文現象の把握：プロットから流域スケールの手法による知見と今 後の展望 飯田真一・玉井幸治・野口正二・小林政広（森林総研） SP2 地質学 ・応用地質学と水文科学 林 武司（秋田大） ・日本応用地質学会地下水研究部会 SP3 地熱・地中熱と水文科学 井岡聖一郎・村岡洋文（弘前大・新エネ研）・内田洋平（産総研）・鈴木陽大（弘 前大・院） SP4 深層地下利用と水文科学 町田 功・小野昌彦・井川怜欧・丸井敦尚 （産総研） SP5 地球化学と水文科学 中村高志（山梨大）・細野高啓（熊本大） SP6 沿岸海洋学と水文科学の融合に関わる研究の現状と今後の展望 齋藤光代（岡山大）・小野寺真一（広島大）・大久保賢治（岡山大） SP7 農業と水文科学 飯泉佳子（国際農研）・吉川省子（農環研） ＜技術発展と水文科学＞ SP8 リモートセンシング技術と水文科学 樋口篤志（千葉大） SP9 若い地下水年代測定技術の課題と展望 利部 慎（長崎大） SP10 水同位体研究の現状とブレークスルー 田上雅浩（東京大） SP11 GIS および流域モデル研究の現状と展望 清水裕太（農研機構 西日本農業研究センター）・小野寺真一（広島大）・松森堅 治・高橋英博（農研機構 西日本農業研究センター） 2 森林における水文現象の把握： プロットから流域スケールの手法による知見と今後の展望 ○飯田真一・玉井幸治 ・野口正二・小林政広（森林総合研究所） Future research directions across forest and hydrologic sciences Shin ’ichi IIDA, Koji TAMAI, Shoji NOGUCHI, Masahiro KOBAYASHI (Forestry and Forest Products Research Institute, FFPRI) キーワード （Key word）： 森林 （forest），水循環 （hydrologic cycle ） １．はじめに 森林に降った雨がどのように，どれぐらいの割合で河川に流出するかを理解することは， 下流域の農業生産や日常生活で利用する水資源確保の面で重要である。雨水はまず森林土 壌に浸透し，最終的に渓流へと流出する。この降雨流出過程について多くの研究が行われ てきた（太田ほか，1985 など）。他方，森林の状態（樹種や本数，林齢など）によって森 林流域からの流出量は変化することが流域試験の結果から明らかになっている（Bosch and Hewlett, 1982 など）。このことは，森林の蒸発散量が森林の状態によって変化することを示 しており，より直接的な評価が求められている。そして，近年，我が国においても樹液流 速測定法に基づく林分蒸散量の評価事例が蓄積されつつある（Kumagai et al., 2007 など）。 以上のような背景を踏まえ，本発表では主として我が国で行われてきた研究例を参照し， 森林土壌中の水の挙動，森林の状態と流出量の関係，森林の蒸散量の評価に関する知見を 俯瞰するとともに，今後取り組むべき課題について検討を行う。 ２．森林土壌中の水移動 森林から流出する水はどのような経路をたどって渓流に到達するのか，多くの研究が行 われてきた。降雨時に流出する水は，主として，雨が降る前に流域に貯留されていた地