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計算機構成：Computer Architecture 第１章 計算機 　計算機（コンピュータ）は、四則や開閉など代数演算を行ったり、算盤や電卓計 算機のように代数方程式や微分方程式を高精度の数値計算で迅速に行うものであ る。計算機構成について語る前に「計算機」とは何を意味するか次節で説明する。 1.1　機械、情報、データ 　計算機は一つの機械である。 （１）機械 　機械は人間の労働の負担（仕事）を軽減するものである。ものを動かしたり、処 理したりする機械があり、情報を入力する機械もある。 （２）情報 　情報というのは、物事に関する知識である。情報自身はその表現に依存しない。 情報の表現はデータという。 （３）データ データ（情報）を処理して目的にかなった情報を出力する機械を計算機という。 　計算機の中では我々の一番身近なものは電卓だろう。この計算機では、キーで入 力されたデータを処理して小さなディスプレイにその結果を表示す。最近の電卓は データを格納したり、データの加工手順（プログラム）を編集したりすることがで きる。このような情報を処理する機械が多種多様ある。このような計算機の構成に ついては以下に説明する。 1.2　データ処理システムおよびその基本要素 　前節のような計算機は、図１に示す３つの要素からなっている。ハードウェアと 基本ソフトウェアの機能別の役割は、固定ではないことに注意してもらいたい。つ まり、ある計算機はある機能をハードウェアで行ったり、他の計算機では、そのこ とをソフトウェアで実現したりすることがある。応用ソフトウェアは、ある問題を 解決するための一つの計算手順に対応している。 ハードウェア データ処理システム ｝ 基本ソフトウェア 応用ソフトウェア 図１　計算機の基本要素 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1 桐蔭横浜大学・工学部・電子情報工学科　　Alberto Palacios Pawlovsky　助教授 計算機構成：Computer Architecture 1.3　構成と構造 　構成は、機械の外観であり、機械の機能体系である。一方、構造は、ユーザーか ら見えない内部の体系である。自動車を例にすると、ハンドルの位置、前輪駆動、 後輪駆動、四輪駆動、フロントパネルのタイプおよび表示項目は構成に対応し、バ ルブの数、車体の材料（鉄やアルミニウムなど）などは構造に対応している。 1.4　計算機構成の定義 　構成の定義は、色々ある。もちろんこれらは唯一の定義ではない。ここでは、IBM システム360の開発担当者G.M.Amdahlらの以下の定義を用いる。 「プログラマ（処理の手順を書く人）から見た（データ処理）システムの属性、す なわち、データの流れや制御の構造、論理設計および物理的な実現方法ではなく、 概念的な構造および機能的な振り舞いを規定する技術を計算機構成という。」 1.5　計算機の古典的な構成 　計算機は、図２に示すように、入出力装置、処理装置、記憶装置（メモリ）の３ つの装置によって構成されている。 （１）入出力装置 　入出力装置は、人間に例えると、目や耳、皮膚、又は、口や手足、表情に相当す るもので、外界から情報を得るための入力機能を持ち、外界に対して情報を提供す るための出力機能を持つものである。卓上（デスク・トップ）コンピュータのキー ボードは一つの入力装置である。プリンタやディスプレイ等はコンピュータの出力 装置である。 入出力装置 記憶装置 処理装置