(社)日本栄养士会.pptVIP

* * * さて、この金額「年間５００万円」とは、何か分かりますか？ 実はこの５００万円とは、★　 「人工透析」に必要な、１人当たりの　年間医療費　なのです。 糖尿病を放置することで起こる代表的な合併症に 「糖尿病性腎症」がありますが、 悪化すると「人工透析」を受けなければなりません。 「人工透析」を受けることになると、この多額の費用とともに １回４時間、１週間に３回程度の通院を、一生続けなければならず、 仕事をはじめ、社会生活に大きな支障となります。 現在のところ、この高額な医療費の大部分は 「医療保険」から支払われておりますが★ 急激な高齢化社会に向かっている日本ですから、 どんどん増え続ける医療費は借金となって、 次の世代へ引き継がれてしまうことが、心配されます★★　 ＜参考＞ ●　自己負担額は１ヶ月あたり約１万円（Ｈ２０年１月現在） 参考：第1回腎疾患対策検討会資料より 人工透析の費用：日本移植学会調べ * * では「糖尿病」とは、どのような病気なのでしょうか？ 　　　　　　　　 　私たちが米やパン、麺類などを食べると★　その中に含まれる糖質が 分解され、ブドウ糖となって小腸から吸収されます。 このとき血液中のブドウ糖、つまり「血糖」が増えて、 一時的に血糖値が上昇しますが、 このことをキャッチした膵臓は★、すぐにブドウ糖をコントロールする、 「インスリン」というホルモンを出します。 　すると、ブドウ糖はこのインスリンによって全身の細胞に取り込まれ、 エネルギー源として★利用されます。 　しかし、インスリンがすぐに出なかったり、量が少なかったり、 またせっかく出てもいても働きが悪いと、 いつまでも血液中にブドウ糖が残ったまま血糖値が下がらなくなります。 過剰なブドウ糖を含んだ血液が、いつもからだを巡り、 血管を傷つけるなど、さまざまなトラブルを引き起こす怖い病気 これが「糖尿病」なのです★ ＜参考＞ ●インスリン分泌不全： 　　　　　インスリンの分泌が遅れたり、量が不十分であること ●インスリン抵抗性： 　　　　　インスリンの分泌量は充分でも、インスリン受容体の働きが悪く 　　　　　ブドウ糖の消費や蓄積が進まないこと（２型糖尿病の特徴の一つ） 　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 * 人間のからだの中で、血糖値を下げることができるホルモンはイン スリンだけなので、その働きはとても重要になります。 　　　　　　　　　　　　　 インスリンの働きがイメージしやすいように、お話ししてみます。 例えば、人間を機関車に例えますと、エネルギー源であるブドウ糖 は、燃料の「石炭」ブドウ糖をコントロールするインスリンは、 石炭を炉にくべる「機関士」となります。 「機関士」は、「石炭」をせっせと炉にくべて燃やし★ 燃えることで　発生したエネルギーによって機関車を走らせます。★ でも、燃やさなければならない石炭の量が多すぎると、機関士が 一生懸命働いても追いつかず★、次第に疲れて動きが悪くなり★ ついには、働けなくなってしまいます。 このように石炭、つまり「ブドウ糖」が多すぎると、機関士、つまり 「インスリン」の働きが悪くなるのです。 　ブドウ糖が過剰になるのは、食べ過ぎによる「過剰摂取」と、運動 不足による「消費不足」が、大きな原因です★ * * 　またインスリンの働きを悪くするのは★ 「食べ過ぎ」や「運動不足」、「肥満」のほか 「ストレス」も、大きく影響します。 このような「生活習慣」が重なり、長く続くことで、 糖尿病を発症しやすくなります。 　また、遺伝的な体質を持っていらっしゃる方は★ さらに発症しやすいので、 ご両親やご家族に、糖尿病の人がいる場合は 日頃から、生活習慣には充分注意をしてください★ * * * 　血糖値が高い状態が続き、完全な糖尿病になっているにも関わらず そのまま放置していると、 　ある日突然★このような「合併症」と言われる病気の危険が迫ります。 先ほどの「糖尿病性腎症」に「網膜症」と「手足の神経障害」を合わせた ３つを「糖尿病の３大合併症」と言いますが、どれもおそろしい病気です。 　糖尿病の怖いところははっきりした症状が出ないまま　静かに進行する ため、「血糖値が高め」だと気づいていても、 つい放置してしまうところです。 この足の写真をご覧ください。本当に怖いですよね。★ 参考 ●上記合併症罹患者数 糖尿病が原因の失明者：年間約３、０００人 壊疽による下肢切断：年間約３、０００人 糖尿病に由来する、新規の透析患者：年間約１４、０００人 ●合併症の２タイプ 　①大血管に発症する病変???動脈硬化→心筋梗塞、脳卒中 　②細小血管に発症する病変