第148回东邦医学会例会-东邦大学.pdfVIP

（53）225 学会抄録 第 148 回　東 邦 医 学 会 例 会 平成 28 年 6 月 15 日（水）17 時～20 時 10 分 平成 28 年 6 月 16 日（木）17 時～20 時 20 分 平成 28 年 6 月 17 日（金）17 時～20 時 26 分 東邦大学医学部大森臨床講堂（5 号館 B1） 6 月15 日（水） 　2．日本で検出される市中感染型MRSA の病原性の検討 山口哲央（微生物・感染症学） I．平成27 年度プロジェクト研究報告1 卜部尚久　（大森呼吸器内科） 　メチシリン耐性黄色ブドウ球菌（methicillin-resistant 　1．レジオネラ肺炎におけるメトホルミンの効果 Staphylococcus aureus ：MRSA）は医療関連感染症の代表的 な起因菌の 1 つであるが，市中で健常人に感染する市中感 梶原千晶（微生物・感染症学） 染型 MRSA（community-associated MRSA：CA-MRSA） 内藤　拓　　　　　（免疫学） が世界各地で問題となっている．わが国では毒素性ショッ 　2 型糖尿病治療薬であるメトホルミンが及ぼすレジオネ ク症候群毒素 1（toxic shock syndrome toxin 1：TSST-1） ラ肺炎の発症抑制の機序を解明することを目的として行っ 産生 CA-MRSA 株が多く検出されるが，このクローンは海 た．A/J マウスにレジオネラを経気道的に感染させ，メト 外での報告はほとんどなく，その病原性に関しては明らか ホルミン投与群と非投与群において，生存率，肺内菌数に にされていない．今回われわれは，TSST-1 産生 CA-MRSA ついて検討した．また感染後の骨髄由来マクロファージに 株と院内感染型 MRSA（hospital-acquired MRSA：HA- お け る 菌 数，RNA 発 現 量，adenosine monophosphate MRSA）である N315 株を比較することで，わが国における （AMP）-activated protein kinase（AMPK）のリン酸化レ CA-MRSA の病原性を検討した．敗血症モデルマウスにお ベルについて検討した．メトホルミンを投与群は生存率が いて，TSST-1 産生 CA-MRSA 感染マウスは N315 感染マ 有意に上昇し，肺内菌数は減少していた．骨髄由来マクロ ウスよりも高い致死率を示し，炎症反応も優位に上昇して ファージにおいてメトホルミン添加した場合，AMPK のリ いた．菌株の解析においても，TSST-1 産生 CA-MRSA で ン酸化が増強，ミトコンドリア由来活性酸素種の発現量が は毒素産生量が上昇しており，病原性が高いことが示され 上昇し，菌の増殖は有意に抑制された．以上の結果から， た．以上の結果より，わが国固有の CA-MRSA 株は病原性 メトホルミンは宿主免疫に作用し，マクロファージにおい