开催结果报告世界考古学会议第8回大会-日本学术会议.PDF

世界考古学会議第 8 回大会 開催結果報告 １ 開催概要 (1) 会 議 名 ： （和文）世界考古学会議第8回大会 （英文）8th World Archaeological Congress, Kyoto. (WAC-8 Kyoto) (2) 報 告 者 ： 世界考古学会議第8回大会実行委員会委員長 都出 比呂志 (3) 主 催 ： NPO法人WACJapan、日本学術会議 (4) 開 催 期 間 ： 2016年８月26日（金）～ ９月３日（土） (5) 開 催 場 所 ： 同志社大学今出川キャンパス、京都文化博物館、両足院、VOICEギャラリ ー、高瀬川・四季エアー（いずれも京都府京都市）、小豆島町（プレシ ンポジウム）（香川県小豆郡） (6) 参 加 状 況 ： 80ヵ国/86地域，1,830人（国外1,486人、国内344人） ２ 会議結果概要 (1) 会議の背景(歴史)、日本開催の経緯： 世界考古学会議は、世界約 130 カ国と地域に会員をもつ、最大規模の考古学の国際会議であり、その総会は、各 地から参集した考古学者や運動家や一般の文化遺産に関心のある人々が集まり、学術研究発表だけでなく文化遺産 と社会問題を論じる大規模国際フォーラムである。この会議は４年に一度開催され、世界中の文化や社会、その遺 産や研究の現状などの問題を広く共有するとともに、その開催と総会での議決により、提言という形で次の４年間 の活動方針を決定、世界中の文化財保護や考古学研究にまつわる様々な問題解決に取り組んでいく。 日本開催に際しては、WAC-7ヨルダン大会にて、下記の３点の特徴を掲げ、誘致、投票により開催が決定した。 ・日本や世界中で、この 10 年の経済状況や政策によって文化財保護や考古学の将来像が縮小、不安定化しおり、 特に日本では東日本大震災後の文化財調査をめぐって日本考古学が重要な局面をむかえている。 ・世界考古学会議の取り組んできた先住民問題や文化の多様性の問題は、考古学・文化遺産保護の困難な状況下で こそ、真摯に向き合い話し合うことの重要性が高い。特に、文化財保護において考古学が一定の役割をはたし、 同時に大きな問題に直面している日本は、このような議論を行う上で最適の地である。 ・世界各地の文化遺産について、植民地時代の負の遺産をともに自らの問題として検討 ・反省して、未来への方向 性を論じる機会とする。さらに、災害考古学として、災害と遺跡調査や遺跡にみえる過去の災害痕跡の研究など に総合的に取り組むための議論も深める。 また、開催決定から実際の開催に至るまで、プレシンポジウムや公開講演会などを通じて、国内外の関心を高め てきた。実質的には、国内各関連学会の共催を得て、各分野の研究者が参加した。特に重要な点は、日本固有の文 化財保護行政システムの完成度の高さ、災害復興や危機に瀕する文化財に対する行政的、民生的な関心の高さとそ の対応策の具体性、固有の文化や宗教、民族と結びつけることのない科学的考古学研究の姿勢など、日本考古学の 資質やこれまでの経験が、世界的に評価されての開催となった。 (2) 会議開催の意義・成果： 本会議の重要な点は、世界情勢の東西格差や南北格差を、できるだけ解消し、すべての人類のための考古学・文 化財研究を目指す点に大きな特徴がある。一般的な考古学の国際会議では、その学問の発祥の地である西欧諸国を 中心に研究者が参集するが、本会議はそうした地域の人々、あるいは開催国実行組織の努力によって、特に必要が 生じる参加者にトラベルサポートを供与して参加を促す制度が設けられている。日本でのWAC-８については、特に 埋蔵文化財行政、災害と考古学、等の問題は、南北格差のなかで「忘