土壌改良対策.PDF

２．土壌改良対策 土壌に植物質や鉱物質などの資材を投入して、土壌の生産力を高めて改良することを、土壌改良とい う。土壌改良は、化学性の改良と物理性の改良とに大きく分けられるが、ここでは、作物（作目）別の 土壌診断基準（土壌養分の適正値(範囲)）に基づいた化学性の改良について主に述べる。 （１）改良目標のたて方 2 作物別の土壌診断基準に示した化学性項目は、pH(H O )、石灰飽和度、苦土飽和度、加里飽和度、塩 基飽和度（石灰飽和度＋苦土飽和度＋加里飽和度 、）可給態リン酸、可給態ケイ酸である。このうちpH（H O） 2 は塩基飽和度（石灰飽和度）と高い相関関係があり、石灰、苦土、カリおよび塩基飽和度の計算には陽 イオン交換容量(ＣＥＣ)が必要なので、 土壌分析項目としてＣＥＣは必須であるが、 測定不可能な場合は、 表－ 2 に記載した代表土壌統群の陽イオン交換容量分析結果を適用する。なお、ＣＥＣは一度測定して おけばほとんど変化しないので、以前の分析値を利用しても実用上さしつかえない。 pH (H O )の矯正は、厳密にはそれぞれ土壌ごとの緩衡曲線法による中和石灰量を求めて実施すべきで 2 あるが、簡便な方法として、塩基飽和度を目安にして石灰資材の施用量を決めることができる。塩基飽 和度とpH(H O )との関係は、ほぼ表－1 の通りである。なお土壌分析結果に基づく土壌改良は、原則 2 としてpH (H O )を第一義的に考慮することになっており、pH H（O ）が土壌診断基準値に達すれば、 2 2 塩基飽和度(石灰飽和度)も目標値に達している場合が多い。 交換性石灰(ＣａＯ）、苦土(ＭｇＯ）、カリ(ＫＯ)の改良目標値は、土壌分析結果あるいは代表土壌 ２ 統群の陽イオン交換容量分析結果のＣＥＣ値と、作物別土壌診断基準の石灰、苦土、加里飽和度値とか ら、耕地土壌の診断に示した計算方法により設定する。たとえば、水稲のグライ土について計算した結 果を表－ 2 に示した。また作物別土壌養分の適正値中のＣａＯ、ＭｇＯ、Ｋ Ｏはほとんどこのように ２ して作成したものである。 表－１ 塩基飽和度とpH（H O）との関係 2 塩基飽和度(％) ｐＨ（ Ｈ Ｏ ） ２ １００ ６５～７０. . ８０ ６０～６３. . ６０ ５５～５８. . 表－２ 交換性石灰、苦土、加里の改良目標値計算例（水稲、グライ土） 飽 和 度 ＣＥＣの例 改良目標値 項 目 診断基準値 計 算 式 (％) ( ／ ) ( ／ ) me 100g