素数対と平方数対について-新潟大学.PDFVIP

新潟大学教育学部数学教室，『数学教育研究』，第 48 巻，第 1 号，1-6，2013． 素数対と平方数対について 新潟大学教育学部教授 高 野 道 夫 新潟大学名誉教授 鈴 木 保 高 この論文では，まず素数対と平方数対という言葉を定義する。そして，素数対は ただ 1 組のみ存在することを証明する。また，平方数対は自明なものに限ることを 証明する。 定義． 和が素数で，差も素数である２つの素数を「素数対」ということにする。 定義． 和が平方数で，差も平方数である 2 つの平方数を「平方数対」ということに する。 Ⅰ． 素数対の考察 定理１． p ＋ q が素数で， p － q も素数である２つの素数 p ， q は p ＝ 5 ， q ＝ 2 のみである。 証明． （方針） 以下の順に考察すれば解決する。 （イ）p ， q が共に奇数であることはない。 （ロ）q ＝ 2 である。 （ハ）p － 2 ， p ， p ＋ 2 のうちのどれか 1 つが 3 の倍数である。 （ニ）p － 2 ＝ 3 である。 （ホ）p ＝ 5 である。 1 Ⅱ． 平方数対の考察 定理２． A ＋B は平方数 ・・・・・・・・・・ ① かつ， A －B は平方数 ・・・・・・・・・・ ② で， A は平方数 ・・・・・・・・・・ ③ かつ， B は平方数 ・・・・・・・・・・ ④ である A ，B は A ＝ z 2 （z は整数），B ＝ 0 ＝ 0 2 の形のものに限る。 注． A ＝ z 2 （z は整数），かつ，B ＝ 0 ＝ 0 2 は明らかに，定理 2 の ①，②，③， ④ を満たす。このような A ，B を自明な平方数対と言うことにすると，定理 2 は「平方 数対は自明なものに限る」と言っています。 補題３． （ [2] Theorem 7 ） X ， Y ， Z は，どの 2 つも互いに素な正の奇数で， m は非負な整数で， 2 m 2 2 X ＋ 2 ・ Y ＝ Z を満たす整数解 X ， Y ， Z ， m が存在するならば， m ≧ 3 で， 2 m 2 2 X ＝ | a － 2 ・ b ｜ ， Y ＝ a b ， 2 m 2 2 Z ＝ a ＋ 2 ・ b を満たす互いに素な正の奇数 a ， b が存在する。 証明． X ， Y ， Z は，どの 2 つも互いに素な正の奇数で， m は非負な整数で， 2 m 2 2 X ＋ 2 ・ Y ＝ Z を満たす整数解 X ， Y ， Z ， m が存在するとする。 2 8 を法として考えると， m ≧ 3 であることが導かれる。また， 2 m ・ Y 2 ＝