头部外伤に件ふ运发性颜面三叉神经麻痹に就て-J-Stage.PDFVIP

1153 頭部外傷に件ふ運發性顔面三叉神經麻痺 に就て 臺濁總督府蔓北醫院耳鼻 濱 野 博 咽喉科(主任 山下教授) 緒 言 があつたが,翌朝は解熱 し,一般状態稍 良好 とな り, 耳症を俘ふ頭部外傷 帥ち我が耳科領域に於 朝1囘嘔吐があつた. 2月24日臺北醫院外科 に入院 したが,外科的には右 ける諸變化 を件ふ頭部外傷例の報告は近年増加 側顧頂部 に長 さ約3cmの挫傷 を認め る以外 に著變な して來た.本邦に於ても花 田,松本,澤田,堀 く,殊に頭蓋底骨折 の所見な く,一般状態は略正常に 田原,今井,久保,永井,渡邊,吉田等が種々 復 したので27日當科 に韓室 した. なる腦耐經症状を俘ふ頭部外傷例を報告してゐ 入院時所見 全身所見 る.之等は皆頭蓋底骨折に依る腦紳經障碍並に 體格中等慶,骨賂筋肉強肚, 皮膚 に異常な く,呼吸 聴器障碍であるが,余が此庭に述べんとする症 脈搏略正常,顔貌 は正常で意識 は明確,眼球運動正常, 例は,墜落に依 り頭部外傷を蒙 り中耳血腫を生 瞳孔正圓,兩側同大,眼球震盪 な く光線反射迅違であ じたが, レントゲン検査に依 り頭蓋底骨折を認 る. 胸部は右側肩脾部の疼痛 を訴へ るが,他覺的には變 めす,しかも数 日後に始めて顔面,三叉神經麻 化はない.その他肺臓, 心臓 は全 く正常である. 痺を來せる興味あるものである. 腹部臓器, 肝, 腎, 脾臓を觸れず.叉何虎 にも腫瘍 症 例 抵抗 を感ぜず,壓痛鮎 もない. 四肢 に運動及び知覺障 患者■45歳, 男子, 碍 な く,膝蓋腱反射弱陽性, ア ヒレス腱反射 はない. 主訴 耳鳴,右側難聽,頭重感. その他病 的反射等 もない. 遣傳的關係 父 は健在であるが母 は不明の疾患で死 各腦神經 の機能 を調べたが何才しも著變 な く,顔面紳 亡 した.3人兄弟 の長男,結核,悪性腫瘍,腦溢血, 經,三叉神經 も異常がない. 精紳病 その他特記すべ き遺傳的素質は認め られ ない. 第八神經 に就ては韓力検査で 中等度の難聽 を示すが 既往症 生來健康な りしが,大正7年 に流行性感 冒 前庭機能 は略正常で均衡障碍等 はない. に罹 り3日間就床 した.その後疾病 を知 らない.花柳 腦脊髄液所見 は略正常であった.即ち横臥位で初壓 病 は否定す. 120mm,終壓90mmで探取液約7ccであつたが,色は 酒 は少 し嗜むが,煙草は喫はぬ. 全 く透明であつた. ノンネアペル ト,パ ンデイ氏反應 現病史 本年(昭和11年)2月22日午後4時頃斜 面上の 共 に陰性で,細胞数は4乃至5個,淋巴球であった. 材木 の上で足 をた らせ,約3間 下に墜落