中国西南民族史.PDF

中国西南民族史 7. 南詔国の滅亡 1 公主降嫁の顛末　①発端 876，8月頃 高駢，成都に羅城を築く n  南詔国軍の再来 （あるいはその噂が立って城を築く 賦役労働者が浮き足立つこと）を恐れ，仏僧景仙を 雲南に送る ※公主降嫁は唐側（高駢）が発議した？ n  高駢：当時の唐側で一番の「南詔国通」 n  仏僧を送ったのも雲南の仏教流行を知っていたから n  公主降嫁の希望があることを察知していた？ 2 公主降嫁の顛末　②経過 878 4月 南詔国側は酋望趙宗政を派遣して和親 　 （＝公主降嫁）を求める ※唐側では降嫁を否とする崔澹・鄭畋らと 　　賛成派の高駢・盧攜らの論争となる （〜5月） 　　 「恐垂笑後代」 12月 趙宗政の帰国に際し，崔安潛に返答を 　　書かせる。安潛は崔澹の説を採用 ※ここで和親の議はいったん否定された 3 公主降嫁の顛末　③経過 880 陳敬瑄，西川節度使となり，ふたたび和親の 　議を取り上げる n  中央では盧携や豆盧瑑が推進論を展開 n  和親と南詔国の「不称臣」を容認する詔が 陳敬瑄に降され，安化長公主の降嫁が内定 12 月黄巣軍が長安に入城 881 正月 僖宗，成都に到着 n  黄巣の乱による中原の混乱→西南の混乱は避 けねばならない 4 公主降嫁の顛末　④経過 n  隆舜，宰相趙隆眉・楊奇混・段義宗らを 行在 （成都）に派遣，公主を迎えに来る。 n  高駢，揚州から「三人者，南詔心腹也，宜止鴆之，蛮 可図也」との謀略を主張 881 （？），882にも公主を迎える使節 ※唐側は「方議公主車服」「以方議禮儀」等を 　口実に先送り 　→本気で降嫁させる気はあまりない？ 5 公主降嫁の顛末　⑤経過 883 7月 南詔国は布爕楊奇肱を遣わして公主を 　迎える n  唐は始めこれまでと同様の先送りをはかる 「鑿輿巡幸，儀物未備，俟還京邑，然後出降。」 n  楊奇肱はこれに納得せず，成都へ乗り込む 「奇肱不從，直前至成都。」 →張鷦譙を礼会五礼使，徐雲虔を副使，嗣虢王約 　を婚使とする使節を組織 　 （唐の先送り策が通用しなくなった） 6 公主降嫁の顛末　⑥結末 n  婚使は出発したのか？ n  「未行，而黄巣平，帝東還，乃帰其使。 」 （『新唐書』） n  「已而黄巣敗，収復長安，僖宗東還，乃止。」 　　　　　　　　　　　　　　　　（ 『新五代史』） n  「次驛，報收復長安，黃巢東走，乃託以他歳而止。」 　　　　　　　　　　　　　　　　（ 『五代会要』） →そもそも成都を出発しなかった　or 　出発したが 途中で引き返した？ n  結局，10年がかりの交渉の結果，降嫁は実現し なかった 7 蒙氏の権威の相対化 n  唐との関係が蒙氏の権威の源泉となりえなくなる （西川における待遇低下・世隆の冊封拒否）