多発性骨髄腫の臨床統計.pdfVIP

昭 和45年4月　 1:249 研 究 多 発 性 骨 髄 腫 の 臨 床 統 計 堀 越 昇*山 崎 健 之* レベルで研究がな され てい る。 Ⅰ.　は じ め に わが国においては,瀬 尾13)(1915年),呉・ 多発性骨髄 腫 は,1845年,英 国に お いて, 立花M)(1915,6年)の 報告以来,多 くの症例 ThomasWatson,WilliamMacIntyre1)が, 報告がな されて きた。1955年,日野15)により, 骨痛 お よび病 的骨折 を お こ し,加 熱 に よ り特 異 大正4年 以降昭和30年4月までの71例について な変化 を うけ る尿蛋 白を持 つ症例 を見 出 し,そ の文献的考察が行 なわれた。 また1962年,今村 の尿 をHenryBenceJones2)3)4)のも とに送 り, ・桃井 ・三好16)によ り,昭 和35年10月までの報 そ の尿蛋 白の性状 が分析 され た こ と に は じ ま 告例お よび昭和34年7月か ら11月までの間の調 る。 またW.Maclntyre,JohnDalrymple5)査症例の合計377例(未報告例70例)について, は,本 症例 の肋 骨,胸 骨お よび脊椎 の軟 化部 分 くわ しい臨床 な らびに血液学的統計観察結 果が に,骨 髄腫細胞 を認 め,骨 の悪 性疾 患で あ る と 報告 されてい る。 また1966年には,高 月 ・加 考 えた6)。そ の後,1873年に,Rustizky7)は, 納17)18)による わ「が国におけ る骨髄腫お よび 本疾患 を,MultipleMyelomeと命 名 した。 類縁疾患」 と題 しての総括的考察が試み られて そ して,1889年にな って,OttoKahler8)の記 い る。一方,臨 床統計 とは別 に,異 常蛋 白の面 載 に よ り,は じめ て一 つの疾患単位 と して認 め よ りは,今 村 ・桃井19)による 骨「髄腫-31自験 られ るよ うに なった。1900年 に,Wrightg)10)例の蛋 白異常を中心に して-」,桐 生20)らに よ は,レ 線 の臨 床 的応用 に よ り生体 で の診 断 を可 る 「Immunoglobulinsより見た多発性骨髄腫の 能 と し,併 せ て骨髄形質細胞 との相 関性 に まで 各型」,河合21)による 多「発性骨髄腫」 らの報 言 及 した。1930年代 に入 り,そ の診 断 に,骨 髄 告がみ られ る。 穿刺 法が導 入 され,ま た1939年には,Long- 今回われわれは,昭 和43年10月の 日本血液学 sworth11)らは,本 疾 患の症例 には,Tiselius電 会 ・日本臨床血液学会総会でのシ ソポ ジ ウム 気 泳動上,異 常 パ ター ンの出現す る ものの存 在 造「血器 の増殖性疾患の治療」の中での 骨「髄 す る事 をは じめて報 告 した。1953年に いた り, 腫の化学療法」22)を分担す る機会が与 え られ Grabar12)による免疫電気泳動 法が 考案 され て た折,全 国の大学病院お よび200床以上の病院 か らは,血 清蛋 白の よ り詳細 な分 析 が行 なわ れ のご協力に より収集 し得た724例の骨髄腫(昭 る よ うにな り,骨 髄腫 もさらに ちが った角 度 よ 和30年より昭和43年5月までの期間)に つき, り,さ らに詳 しく分類 され るよ うに な っ て き その治療前の臨床症状,検 査成績お よび生存期 た。 また,Immunoglobulinにつ い ては,分 子 間等 を比較検討