科学的探究能力培环境教育教材开発実践関.pdfVIP

科学的探究能力を培う環境教育教材の開発と実践に関する研究 土佐清水市立下川口中学校 教諭 堅田勇人 1 はじめに 今日、地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、熱帯林の減少などの地球規模の環境問題や大気汚染、水 質汚濁、土壌汚染、ごみ問題などの都市化や生活様式の変化に伴う環境問題は、世界共通の課題とな っており、その解決に当たっては、法的規制の強化や科学技術の力による方法も重要であるが、教育 による環境に対して豊かな感受性や見識を持つ人づくりこそが大切であるという事が、共通の認識で ある。 我が国の学校教育においても、文部科学省は「環境教育指導資料」（中学校・高等学校編）（大蔵省印 刷局，1991 年）などで以前から環境教育の重要性を強調し、新学習指導要領においては「総合的な学 習の時間」の新設にあたって、環境教育の実施を奨励している。環境教育は、よりよい環境の創造の ために行動できる能力や態度を育成する教育活動であり、また現在の学習指導要領の柱でもある、自 ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる、「生きる力」の育成につながるものであって、各教科、 道徳、特別活動などの連携・協力、総合的な学習の時間の活用など、学校全体の教育活動を通して取 り組むべきものであるといえる。また、効果的な環境教育の実施の為には、体験的な学習の重視、学 習者の発達段階に応じた学習プロセスの重視などが挙げられている。 環境教育の内容は多岐に及び、広範に展開しているため、さまざまな場面での教材化が可能であるが、 逆に全体を見通すことが難しいという局面もある。また、同一のテーマであっても、児童生徒の発達 段階や地域素材の導入等により、その展開は無数にあるといってよい。 したがって、我々教師は学習のテーマ、教材、指導方法、評価の方法などについて十分に検討し、教 科の特性を生かし、また教科横断的・総合的に、目の前の児童・生徒にとって最も効果的である環境 教育を展開していく必要があるといえる。 2 研究の目的 (1) 幅広く対応できる科学的探究能力を培う環境教育教材の開発 (2) 開発した教材を用いた実践プログラムの研究・実施 3 研究内容 (1) 環境教育教材「自作簡易比色計」の開発 ① 比色計について 比色計は吸光光度分析の原理を利用し、溶液濃度を定量的に求める事ができる装置である。試料 物質の基底状態から励起状態への電子遷移に基づく、光（可視光・紫外光）を吸収する現象を利用 する定性定量分析が吸光光度分析である。 濃度C（mol/l），厚さd（cm）の均一な吸収層を単色光が通過するとき、入射光の強度 Iと透過 0 光の強度 Iとの間には A＝－log(I/I)= εCｄ (1)式 0 -1 -1 の関係がある (Lambert-Beerの法則)。I/Iを透過率，Aを吸光度という。ε(mol /lcm ) は物質 0 に固有な定数でモル吸収係数とよばれる。 (1)式は会合や解離がなく、また分子と溶媒との相互作用などが無視できるときや、測定装置の直 線性の保たれる範囲内では成立し、吸光度は吸収層の厚さ、試料の濃度やモル吸収係数に比例し、 - 1 - 定量的議論の基礎となる。 装置のしくみは、吸光光度分析に広く一般的に用いられる分光光度計と基本的には同様のしくみ であり、試料溶液をセットする部位を挟んで光源と検出器が直線上に位置する構造である。 比色計では光源として種々の発光ダイオードを、検出には各種光センサ(太陽電池、CdSセル、フ ォトダイオード) を用いる形が一般的である。 発光ダイオード セ ル 受光センサ 呈色溶液の濃度により受光センサ