地理歴史科（世界史B）学习指导案.PDFVIP

地理歴史科（世界史Ｂ）学習指導案 広島県立呉三津田高等学校 授業者 川本 啓正 １ 日時・場所 平成30 年６月21 日（木）第３時限 地歴公民演習室 ２ 学年・学級 第２学年１・２組 世界史Ｂ選択者 （31名） ３ 単元名 ローマ世界 ４ 単元について ○単元観 本単元は，高等学校学習指導要領世界史Ｂの（２）のアに述べられている 「西アジアと地中海一帯の地理的 特質，オリエント文明，イラン人の活動，ギリシア・ローマ文明に触れ，西アジア世界と地中海世界の形成過 程を把握させる」ことの一つの取組として実施するものである。 都市国家として成立したローマは，征服戦争を通して領域を拡大し，前１世紀後半には地中海のみならず， ガリア地方や東ヨーロッパを支配する大帝国となった。アウグストゥスから五賢帝時代にかけての約200 年間 は，「パクス＝ロマーナ」と呼ばれ，18世紀の歴史家エドワード＝ギボンは，「人類史上もっとも幸福な時代」 と称した。その勢力範囲は，現在のＥＵ加盟国をあわせたものよりも広大であり，紛れもなくグローバルな性 格をもつ多民族国家といえるものであった。そのような中で，なぜ帝国は繁栄を維持することができたのだろ うか。この疑問については，これまでも古代史における重要なテーマの一つとして，帝国の政治構造や，政治・ 宗教・文化の寛容性，市民権付与による 「ローマ人」としてのアイデンティティの醸成等，幅広い視点で説明 されてきた。これらの幅広い視点は，ローマの特質を理解できるのみならず，他の時代や地域の事象も捉える ことができるものであり，深い学びにつながるものである。さらに，現代及び未来におけるグローバルな時代 の在り方についても考察できる視点として位置付けることができる。 なお，本単元の学びは，本校のビジョンの一つである 「国際社会で通用する能力やグローバルな視点と経験 をもって，地域社会の活性化，持続的発展に貢献する人材を育てる学校」にコミットするものであり，その意 義は大きいと考える。 ○生徒観 本クラスの生徒は，世界史に対する興味・関心が高く，意欲的に取り組むことができる。授業中における個 人思考やペア・グループワークにも積極的である。その一方で，１学期中間考査における思考力問題の平均点 が2.3 点（８点満点），４点以上の得点者が全体の約29％という結果であった。知識を関連付け，見方・考え 方を働かせながら多面的・多角的，論理的に考察する力を磨いていく必要がある。また，歴史的事象に関して， 主体的に探究し，レポートを作成する生徒がみられる一方で，受動的な生徒も多くみられる。自ら疑問を抱き， その解決に向けて主体的に学ぶ生徒の育成を目指した学びが求められる。 ○指導観 本単元では，上記の生徒の実態を踏まえ，導入においてローマ帝国最大領土を問いの焦点とした QFT （Question Formulation Technique）を実施し，生徒基点の学びの切り口を開ける。生徒の疑問に基づいて本 単元の課題を設定し，追究させることで主体的に学ぶ生徒の育成を目指す。また，当時のローマ帝国の様相に ついて，例えば 「属州との関係に着目し，政治面と経済面から」といったように多面的・多角的に考察させる。 1 本時の 「ローマ帝国の繁栄」の要因を考察する学びについては，生徒が要因を考察することの意味や重要性 を感じられるよう，資料や発問を工夫する。また，グループに複数の資料を与え，協働して読み取りや解釈を させることで，生徒が帝国繁栄の要因について多面的・多角的に考察し説明する取組に重点を置く。 ５ 単元の目標 古代ローマ世界における共和政の成立・拡大，共和政から帝国への変容，衰退・分裂について，歴史的な見 方・考え方を働かせて多面的・多角的に考察し，事象を関連付け，因果関係を理解し説明することができる。 ６ 単元の指導計画 時間 単元名 学習活動 ローマ共和政の成立とその