一ヵ月検診における遷延性黄疸の管理法の研究.pdfVIP

　　　　　　　　　　平成4年度厚生省心身障害研究 「妊産婦をとりまく諸要因と母子の健康に関する総合的研究」 一ヵ月検診における遷延性黄疸の管理法の研究 分担研究者伊藤 進 母乳黄疸の成因とその生物学的意義　並びに薬物の乳汁移行と乳児への影響 香川医科大学小児科P、母子センター新生児 定するとともに希釈して尿試験紙での感度を 部2）Susumu　Itohユ），Ke盃chi　Isobe2）l 検討した。 Tomohito　Sumitani1〉Department　of 3〉尿中ビリルビンの測定感度を上げるため Pediatrics1），Matemal　and　Children’s にK．N．の尿で分光学的に検討した。 Medical　Center2），Kagawa　Medical　School 結果：1）各症例の一ヵ月検診での発見の有 無1発見時の所見とその日齢、手術時日齢を Key　word：遷延性黄疸、閉塞性黄疸、胆道閉 鎖症、一ヵ月健診、尿中ビリルビン 表1’に示した。なお、栄養法は1例（N．A。〉 目的：平成2年度厚生省心身障害研究におい が人工栄養で他は混合栄養であった。一ヵ月 て大西らが母乳性黄疸の大学附属病院および 健診で発見された症例は、3例中1例で白色 NICUを有する主な病院に対して全国調査（ア 便が診断の手がかりになった。しかし、その ンケート）した結果、母乳性黄疸を肉眼だけ 症例においても「遷延性黄疸と白色便」を生 で診断（白色便や濃染黄色尿がなければ検査 後25日の保健婦による訪問看護の際に母親が しない）するとされた施設が145施設中10施設 指摘したにも拘らず経過を見るように言われ あり、遷延性黄疸で入院した症例の中で先天 ている。他の2例は、一ヵ月検診では便の色 性胆道閉鎖症が母乳性黄疸の次に多かったP。 は黄色と記載され、遷延性黄疸があるにも拘 この結果より、安易に母乳性黄疸と診断して らず見逃され、それぞれ58日、51日で発見さ 先天性胆道閉鎖症の発見が遅れないようなス れている。その為、手術日齢は、74日、64日 クリーニングが必要であると考えた。効率的 と遅れ生後60日以内に根治手術は出来ていな 成果を得る為に受診率が高く時期的にも最適 い0 な一ヵ月検診での閉塞性黄疸のスクリーニン 2）本院来院時の血清総ビリルビン、直接ビ グとして比較的簡便な尿中のビリルビン測定 リルビン、尿中ビリルビンを表2に示した。 法の確立を究極の目的としてその基礎的検討 全例高直接ビリルビン血症を示し、尿中ビリ を行った。 ルビンは＋以上であった。 方法二1）本院で経験した胆道閉鎖症の3症 症例K．N．の血清と尿中のビリルビン分画 例（N．A．，Y．U．，K．：N．）の閉塞性黄疸発をHPLCで分析し、その結果を表3に示した。 見までの経過と、それらの症例における尿試 上段は、血清と同時に得られた尿中のビリル 験紙（エームス）でのビリルビン測定法を検 ビン分画との関係を示した。下段は、その尿 討した。 2）それらの症例の血中ビリルビン濃度と尿 （144．8U）を添加