高校生の英語学習動機に関する実証的研究.pdfVIP

日本教科教育学会誌 2004. 3　第26巻　第4号 高校生の英語学習動機に関する実証的研究 広島大学大学院教育学研究科　小　篠　敏　明 広島大学大学院教育学研究科　深　揮　清　治 広島県立沼南高等学校　殿　重　達　司 広島大学大学院教育学研究科院生　坂　元　真理子 広島大学大学院教育学研究科院生　張　　小　禿 本研究は主としてカナダで開発された北米モデルを尺度として用い,日本人普通科高校 生学習者の英語学習動機を明らかにし,彼らの英語学習動機の構造を解明することを目的 とするものである。因子分析による解析の結果,日本人普通高校生の英語学習動機は4種 類から構成されていることが明らかになった。また, MANOVAによる解析の結果, 2年 生と3年生の間には, 2種類の内発的動機(因子1, 2)および非動機において有意差が 認められた(2年生3年生)Oまた,男性・女性の問には内発的動機・知識/成長(因 子1),外発的動機(因子3),および非動機(因子4)において有意差が認められた(女 性男性)0 キーワード:英語学習,動機,普通科高校生,因子分析 1.研究の理論的背景 (Knowledge)) 第2言語学習動機に関する研究は1960年代の (Accomplishment) ) LambertやGardnerによる一連の研究以来,今 日に至るまで北米,特にカナダにおいて精力的に (Stimulation)) 進められてきている。そして,現在では,第2言 語学習動機に関する研究は,これらの研究を総合 「非動機」は,学習時の無力感を表し, 「外発的・ しながら,理論的にかなり体系化されていると言 外的制御」は,外的要素によって学習者の行動が 決定される場合を表している。 「外発的・取り入 える。 Noels, Pelletier, Clement and Vallerand れ制御」は,学習者自身が自らにかけたプレッ (2000)によると,カナダおよび北米の主として大 学生の第2言語学習動機は次の7因子より構成さ シャーに基づいて行動する場合を指す。「外発的・ れていると言う。 同一化制御」は,学習者自ら価値を兄いだしてい る目標を達成するために学習活動を行う場合を指 因子1 ・非動機(Amotivation) す。 「内発的・知識」は,学習者の動機が新しい 知識を探求することに関連した活動に基づいてい 因子2　外発的・外的制御(ExtrinsicMotiva- tion (External)) る場合を指す。 「内発的・成就」は,タスクや目 標の達成にかかわる動機を表している。「内発的・ 因子3　外発的・取り入れ制御(Extrinsic 刺激」は,タスクを行うことによって喚起される Motivation (Introjected)) 刺激に基づいた動機を指す。 因子4　外発的・同一化制御(Extrinsic Moti- vation (Identi丘ed)) ここで留意してお