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研究報告 平成22年度 土木分野No.4 物理的風化作用による粒度変化の影響を考慮した地盤材料の構成モデ ルの開発 Development of a constitutive model for soils considering the effects of grading change due to physical weathering 名古屋工業大学 菊本 統 （研究計画ないし研究手法の概略） 【研究背景と目的】 地盤に纏わる工学的諸問題（例えば，構造物基礎の支持力や切土・盛土地盤の安定問題）は， 実地盤の力学特性を適切に考慮した地盤材料の構成モデルに基づく数値解析により検討する 必要がある．しかし，既往の土のモデルは，密度や拘束圧の影響など主に室内試験で検証でき る力学特性を記述可能なレベルまで開発されてきているものの，地盤が粒状材料の集合体であ るという観点からの力学現象は必ずしも考慮できていない．例えば，応力や温度，含水状況の 変化による土粒子間摩擦の変化や粒子破砕（物理的風化現象）に伴う粒子特性の変化は土の強 度・変形特性に影響を及ぼすと指摘されているにも関わらず，これを適切に考慮したモデルは なかった．そこで本研究では，特に応力変化に伴う粒子破砕や温度変化に伴う土粒子間摩擦の 変化に着目し，物理的風化作用による粒度変化の影響や温度依存性を考慮した新しい土の構成 モデルの開発を試みた．なお，本研究では土のモデルとして最もポピュラーな限界状態モデル （例えば，Cam clay）の拡張により粒度変化の影響を記述する方法の開発を試みるので，実現 されれば既往のモデルへの応用性も高い． 【研究計画と手法】 本研究で開発を目指すモデルは外的要因（応力）と粒度変化の関係と粒度変化と応力ひずみ 特性の関係を規定することによって定式化できる．よって，モデルの開発と検証は以下の3ス テージによって実施される． (Ⅰ)物理的風化作用による粒度分布の変化の定式化 研究代表者が提案する粒度インデックスIGにより現在の粒度分布を規定し，応力変化に伴う 粒度分布の変化をIGの発展則として定式化する．温度変化は粒度変化にも影響を及ぼすものと 予想されるが, これまでほとんど実測データが示されていないので，ここでは摩擦特性に及ぼ す影響のみを考慮した． (Ⅱ)粒度分布の変化が応力ひずみ特性に及ぼす影響のモデル化 物理的風化によって粒度分布が変化すると平均応力-比体積関係において限界状態線が下降 し，ピークせん断強度やダイレイタンシーが低下する．このような物理的風化作用による粒度 変化の影響は，粒度インデックスIGの変化を考慮して3次元に拡張した限界状態面を用いて， IGの変化と限界状態線の下降を関連付けることで簡潔に記述する． (Ⅲ)実測値との比較による提案モデルの検証 提案モデルを用いて高圧三軸試験と温度制御式圧密試験のシミュレーションを行い，実測デー タと比較することで提案モデルの妥当性を検証する． （実験調査によって得られた新しい知見） 【粒状材料の粒子破砕現象に関する実測データの収集と分析】 粒子破砕現象について実験的ある いは解析的に検討した約130編の既 往文献を収集し，粒子破砕現象と粒 度特性の変化，粒度変化が応力ひず み特性に及ぼす影響について整理し た．一連の整理によると，図1のよう に圧縮・せん断を受けて地盤材料が 粒子破砕を生じると細粒分含有率は 増加するが，最大粒径はほとんど変 図1 リングせん断試験でのDog’s Bay砂の粒子破砕 化しないこと，圧縮・せん断に伴う と粒度変化（Coop et al., 2004) 粒子破砕の進展はいずれ終息し，こ れ以上破砕をしない限界粒度に達することが わかった．また，図2, 3のように先行圧縮履歴 を与えて粒子破砕を生じた砂は破砕前の砂と は異なる挙動を