性能照査型道路設計の流れと設計要件に関する考察.PDFVIP

性能照査型道路設計の流れと設計要件に関する考察* A study on flow and requirements of the Performance-Oriented Road Design * 渡部数樹** ・山川英一*** ・阿部義典*** By Kazuki WATANABE*, Eiichi YAMAKAWA*** and Yoshinori ABE *** 1. はじめに 2. 性能照査型道路計画設計 日本の道路ネットワークは，当初，道路構造の全国的 性能照査型道路計画設計は，“機能に対応した性能を な統一を図る主旨1)のもと制定された「道路構造令」に 実現するため，必要な道路構造と交通運用の組み合わせ 基づき，ある一定量が整備されてきた．昨今では土木業 を柔軟に採用したオーダーメイド型の道路計画設計手 界内でも，先進国と比較した場合，道路整備状況が量的 法”であり，中村・大口ら3)～5)により提唱されてきた計 2) にも質的にも低い状況にあるという報告 がなされてい 画設計手法である． るものの， 依然として国内の道路整備に対する関心は “真に必要な道路”というキーワードに象徴されるとお りと感じられる． 道路設計という言葉を耳にしたとき，この業界に身を おく我々は“新設”と“改良”の２つをイメージすると ころであるが，一度業界の枠を外すと，前者のみをイメ ージすることが多いと見受けられる． その理由として，道路の機能が交通機能のみであると 認識されることが多いが故，設計するのは交通機能を追 加していく“新設”作業であると誤解を受けていること や，ネットワークを“改良”しようとする概念・計画に 関する情報を知らない・知りえないために必要性が身近 図-1 性能照査型道路計画設計のフロー に感じられないことにあると考える． ここで特に着目したい点は，「道路ネットワーク計 これらの社会的背景を受けて，我々の専門分野に立ち 画」から「交通機能区分」へのフローと，「道路構造／ 戻って道路計画・設計を省みたとき，問題意識は以下の 交通運用」から「実現する交通状況」および「性能照 点にある． 査・評価」から「道路構造／交通運用」へのフローであ ・道路の区分とその道路に求められる機能との対応関 る． 係が明確でないために，機能達成に向けたパフォ 「交通機能区分」の段階では，トラフィックやアクセ ーマンスの最大化が十分とは言いがたいこと． スといった機能に対応する道路の階層区分が設定される ・種級区分により道路構造が一義的に決定される仕様 ことで，道路に求められる機能が明確となっている． 型道路設計に捕らわれ過ぎてしまい，道路の計 「道路構造／交通運用」については，実現する交通状 画・設計思想が曖昧となっていること． 況評価と性能照査の際に “交通運用”が含まれること ・満たすべき性能に対する照査がなされないまま，道