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鞍総牽入F『講座 一アドヴァーンスド・コースー 気象データ処理法　II 客観解析 柏　木　啓　一＊ 　1．はじめに 的をはっきりさせないまま集められたデータは，焦点の 　気象台の現場に初めて足を踏み入れた人は，そこで使 さだかでないピンボケデータであって有効な情報を得る 用されているぽう大なデータに圧倒される事と思いま 事が難しい．したがって，目的を明瞭にし，目的にかな す．私事で恐縮ですが，気象台に勤めだした最初の頃 ったデータを収集する事が，まず必要である．次に，デ は，テレタイプから絶え間なく流れてくるデータのプロ ータには目的にかなう情報以外に，その情報をかき消し ットや天気図作成においまくられて1日を終えていまし てしまいかねない諸々の誤差やノイズが含まれている． た．それが，電子計算室では，極めて短時間のうちに処 データの質の良否は固有技術の問題に属し，いかに多く 理され，天気図となって出力されるのを見て，当然とは のデータを用いても，データの質の悪さを解析技術だけ いえ，コンピュータによるデータ処理に驚きを感じまし で補い，データの品質をはるかに越えた結論を出す事は た． できない．したがって，どのようにしてデータを採り， 　このように，ぽう大なデータは，調査・研究に用いら どのような加工のプロセスを経たものかという，データ れるとともに，日々，リアルタイムに天気予報の資料と の由来や特性を理解しておく事が必要である．また，品 して処理されています．一般的な気象データ処理法につ 質チェックに耐えられないようなデータは使用しない方 いては丸山によって，調査・研究のための解析について が賢明である．そして，データに含まれるノィズを除去 は二宮によって，データ処理の基礎となる統計学につい ’し必要とする情報を取り入れるためにも，目的を明確に ては小沢によって，すでに本講座で述べられていますの し，それに応じた適切なモデルを使用し，データの持つ で，これらを補う意味で，ここでは，現場でデータ処理 情報をまっ殺したり，誤まった結論を出す事のないよう をしている立場から客観解析について述べてみたいと思 にしなければならない． います． 　上記のような観点から客観解析をながめると，客観解 析は，数値予報の発展に伴い，不規則に分布している観 　2・客観解析とは 測データから，数値予報の入力データに適した，一定の 　個々のデータは現象の一面を示すのみでそのままでは 規則的な配置をした格子点値を求める目的で生まれた． 価値が小さい．データの背後にある現象を適正に認識 広義の客観解析としては， し，何らかの判断に役だつように，データの有効な情報 　（1）データの収集，デコーディング（解読），ソーティ 化へのプロセスがデータ処理であり，今日，電子計算機 　　ング（分類編集） がその主要な手段となっている．データ処理は， 　（2）誤まったデ・一タの検出とその修正または削除 　（1）問題（目的）の提起・明瞭化 　（3）格子点値の推定（狭義の客観解析） （2）データの収集 　（4）解析図の出力