三菱汚泥燃料化システム(MegaFuel+SystemTM)による汚泥の燃料化.pdfVIP

三菱汚泥燃料化システム(MegaFuel SystemTM)による汚泥の燃料化 三菱化工機株式会社 新エネルギー開発プロジェクト室 新事業開発部長 才田 泰生 TM 要 旨：三菱汚泥燃料化システム(MegaFuel System)は、脱水汚泥（主対象は下水汚泥）を加熱改質し、 脱水、乾燥し石炭代替の固形燃料を製造する技術である。本システムは、前処理用の破砕機に始まり、改質器、 冷却器、脱水機及び乾燥機からなる主要設備と、改質熱源用ボイラ、脱水ろ液用の排水処理装置、及び脱臭装 置等の付帯設備から成り立っている。汚泥は、前処理（粗大固形分の破砕）を受けた後、ポンプで改質器へ圧 送され、続いて、改質器で滞留中に高温蒸気の吹き込みを受け、200 - 230℃、1,6 - 2.9MPa で加熱及び改質 され液状化する。液状化した汚泥は二段の冷却操作で脱水の適温まで冷却され、脱水及び乾燥され固形燃料と なる。乾燥用熱源は、冷却器で回収したエネルギーで100%まかなえる。2005 – 2006 年度に実施した実証試 験において、原料汚泥より乾固形分の単位重量当たり約 3%発熱量が高い固形燃料（総発熱量 4,766kcal / kg-DS）を製造した。 このように、本システムで製造される固形燃料は、低品位の石炭と同程度の発熱量があり、カーボンニュート ラルな燃料としての活用が期待できる。 1. はじめに の今後の大きな課題である。 MegaFuel SystemTM は、脱水汚泥（主対象は下水 国土交通省では、2004 年に「下水道ビジョン2100 汚泥）を改質し、脱水、乾燥して固形燃料を製造する 下水道から「資源のみち」へ 100 年の計」を策定し、 プロセス技術である。MegaFuel SystemTM は、 21 世紀における下水道の使命を 「下水道の保有する多 Mitsubishi Eco-fuel Generation process as 様な機能を安全で良好な社会環境の実現に資する」こ Alternative Fuel System より命名し、本格的な市場 ととし、下水道の役割として「良好な環境の創造する」、 展開に先立ち 2005 年に商標登録した。三菱化工機で 「安全な暮らしを支える」及び 「21 世紀の活力をささ は、2004 年に本技術の開発に着手し、2005 年、2006 える」事としている。この中で、下水汚泥の有効活用 年と NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術 に就いては、「生かす資源のみち」の創設が提唱され、 総合開発機構)の「産業技術実用化開発助成金」の交付 汚泥の積極的な利用が推奨されている。下水汚泥は、 を受けてプロセス技術の実証を行い実用化の目途をた 固形物分の約80%が有機物で、低品位の石炭程度の発 てた。本技術は、その他の固形燃料化を目的とする炭 熱量を有する為に、固形化して石炭代替燃料として利 化、造粒乾燥等の技術と比較して、燃料製品の発熱量 用することが、有効な活用策となる。MegaFuel が高く、燃料製造に要するエネルギーの消費量が小さ SystemTM は、このようなニーズに適合するプロセス い等の特徴がる。 技術として期待されているところである。 社団法人日本下水道協会発行の下水道統計による と、2004 年度における日本の下水道普及率は 67%で 2. MegaFuelTM System について あり、下水汚泥の発生量は2,174 千 DS-t／年である。 (1) システムの概要 汚泥発生量は下水道の普及につれて着実に増加してき 本システムは脱水汚泥を改質し、脱水、乾燥して固 ており、1996