序章非行と少年法-law.kyushu.docVIP

序章　非行と少年法 非行?非行少年の概念　 非行(一般的イメージ) 　 ?侵害性?犯罪を含む犯罪類似の行為(他人との関係) ?自損性?少年自身が傷つく、少年が自らの利益をを損なう。　　　　　　　　　　　２）非行少年 　　　?性格と環境の両面で問題のある少年 　?成人犯罪者と比べて可塑性に富み、立ち直る可能性が大きい者 3)非行観の対立 ?侵害性重視?制裁中心 ?自損性重視?援助中心 ?性格重視?ハードな処遇 ?環境重視?ソフトな手段 非行?非行少年の法的概念 １）非行 　犯罪、触法、虞犯 ２）非行少年 　犯罪少年、触法少年、虞犯少年 　　※少年法1条?3条 ３）保護処分の前提条件 　　非行事実+要保護性 ４）保護処分(24条)：保護観察、児童自立支援施設?児童養護施設送致、少年院送致 5)犯罪少年の特則：?逆送(20条1項)　 非行少年に対する保護 　?非行の自損性と少年の利益回復を重視 　?対象少年像：社会から平均的利益を享受しうる知識 と判断力において未成熟であり、援助を必要とする者　?保護手続、保護処分 ?非行の侵害性の自覚に達し得ない少年?刑事処分による制裁?保護処分性格 少年法の性格 ?少年法は、福祉法の全体体系の中で、特に非行のある少年に対する福祉を実現するための法的枠組を定める法律 少年法と少年犯罪被害者　 ?被害者学（Victimology）修復的司法（Restorative Justice ） 第1章非行現象と統制原理 １日本の非行現象（p.8） 　?犯罪統計書：犯罪白書、警察白書、青少年白書 　?暗数の問題 　?認知件数(暗数を除く発生数)、犯罪率(一定人口 当たりの認知件数＝発生率) 検挙率(認知件数に対する検挙件数の割合)、検挙人員、犯罪者率(一定人口当たりの検挙人員＝人口比)、罪種別?年齢層別など各種の構成比 ?成人犯罪と少年犯罪の動向 ?1997年から急上昇(白4) ?欧米諸国との比較(白104 、１０５） ?日本の安全性立証 ?少年比(全体刑法犯検挙人員中に占める少年の割合）(白88、198)：高い　 　?人口比(10歳以上20歳未満の少年人口10万人当たりの少年刑法犯検挙人員の比率)：1997年から増勢傾向（白432) 　 ?欧米諸国比較：少年比は日本が最高、人口比は低率※少年人口構成比は14％で欧米とほぼ同じ ?問題点：成人犯罪率は安定化、しかし、少年犯罪の発生率が増加 日本の社会が成人には住みよくても、少年にとっては必ずしもそうでない ?犯罪現象の悪化は国際的推移：資本主義の矛盾(人間疎外、金銭万能風潮、 価値観の多様化、倫理観の変化、コミュニティの解体など）　　　　　　　　　　　　　?日本の犯罪現象の安定化の謎 ?しかし、少年犯罪に限ってはそうではない。少年非行現象では、欧米と同じ。 ?既成世代の責任：子供の行動は社会を移す鏡 ?少年非行の動向 ?人口比(白198)　　　　　 ?罪名別(白435) ?特別法犯(白202、436) ?虞犯(白204、437) ?触法少年(白203) ?少年非行の特質　 ?粗暴化：校内暴力、家庭内暴力(長期的には減少)　(白200、206)、凶悪犯（白435） ?低年齢現象（白199、208） ?一般化現象：1975年以降停止状態 ?非行の型と社会的背景 ?生存型非行：終戦直後の1940年代 ?遊び型非行：1955年代、経済の回復と急成長時代、物質的豊かさ ?非社会型非行：1965年代、明瞭な動機がない、逃避的な雰囲気（今の少年らは活気がない）-処遇困難者 ?非社会型+遊び型：1975年代以降現在まで①享楽的雰囲気、弱者からの一時的解放感満喫、②自分より弱い者をいじめてうっぷんを晴らす?逃避的欲求が強い※既成事実の重圧感からの逃避：凶悪事件 ２保護主義(p.22) 　 ?自由社会＝自由主義(Liberalism)社会　 ?個人の自由に介入?干渉　する理由 　①侵害原理(Harm Principle) ②保護原理（Paternalism) ③道徳原理(Moralism) ?自由主義(Liberalism)の基調：自己決定尊重、他人に影響を及ぼさない生活領域＝私事に関しては、自分の考えに従って行動でき、他人がそれに干渉することは許されない。 ?自由主義と自由制約原理との関係：自由主義?侵害原理?保護原理?道徳原理 ?保護主義の限界 　①強いパターナリズム：本人の意思に基づく行動に対する介入?干渉(自主性がほとんど認められない場合)　弱いパターナリズム：本人の意思に基づかない行動に対する介入?干渉(未成熟、障害により、正常な判断