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生命の定義 　 生命という言葉は、一般には非常に広い意味に理解されていて、宗教、哲学、社会および自然科学の各世界では、それぞれの含みをもって使われている。したがって、生命に関する議論には、しばしば論理のすれ違いを生ずる。それは、議者のそれぞれが生命に異なる定義を下しているからである。ここでは、もちろん、自然科学的な立場に立って生命の定義を試みることにする。 生命という言葉は、一般には非常に広い意味に理解されていて、宗教、哲学、社会および自然科学の各世界では、それぞれの含みをもって使われている。したがって、生命に関する議論には、しばしば論理のすれ違いを生ずる。それは、議者のそれぞれが生命に異なる定義を下しているからである。ここでは、もちろん、自然科学的な立場に立って生命の定義を試みることにする。 生命とは、おおまかにいえば、生物のすべてが特徴的に備える「生きている」という属性である。それは、死体とか無生命には、けっしてないものである。そこで、その生命としての属性には、つぎのようなものが含めれる。 1 ?? 生命を維持するための機構をもっている。この機構は、具体的には化学反応であり、代謝である。生命は、非常にたくさんの化学反応によって維持されており、それらはまとまった系列をつくって、いわゆる代謝をなしている。そして、それぞれの化学反応は酵素というタンパク質触媒によって進められている。 1 ?? 生命を維持するための機構をもっている。この機構は、具体的には化学反応であり、代謝である。生命は、非常にたくさんの化学反応によって維持されており、それらはまとまった系列をつくって、いわゆる代謝をなしている。そして、それぞれの化学反応は酵素というタンパク質触媒によって進められている。 2 生命体を複製するための機構をもっている。その機構は、具体的に細胞分裂あるいは増殖であり、それを通して遺伝的特徴、すなわち形質が次代に伝えられていく。 2 生命体を複製するための機構をもっている。その機構は、具体的に細胞分裂あるいは増殖であり、それを通して遺伝的特徴、すなわち形質が次代に伝えられていく。 3 生命体は時とともに変異し、進化する。生命体はこの地球上に生まれ、それ以来38－40億年を経過していると現在考えられている。その間進化を通して、さまざまな生物種が生まれ、あるいは滅亡しながら、絶え間のない栄枯盛衰を繰り返してきた。そして現在、この地球上には130万種余りの生物が生きている。 　 3 生命体は時とともに変異し、進化する。生命体はこの地球上に生まれ、それ以来38－40億年を経過していると現在考えられている。その間進化を通して、さまざまな生物種が生まれ、あるいは滅亡しながら、絶え間のない栄枯盛衰を繰り返してきた。そして現在、この地球上には130万種余りの生物が生きている。 4 生命体は、これら三つの特性を併せ持つ物質系をいう。いま、いきている生物体と死んで間もあい死体とを化学分　して、この化学成分を比較したとしょう。おそなく、両者の成分の間にはほとんど差はないと考えられる。しかし、一方はいきているし、他方は死んでいる。その違いは、どこからくるのだろう。それは、その生物体を構成している物質系が、前者では上に述べた３属性をそろえているのに、後者はそれらを失っているからである。生命は、一般社会で理解されているように、物質系そのものではない。その物質系がかもし出す属性が生命である。 4 生命体は、これら三つの特性を併せ持つ物質系をいう。いま、いきている生物体と死んで間もあい死体とを化学分　して、この化学成分を比較したとしょう。おそなく、両者の成分の間にはほとんど差はないと考えられる。 4 生命体は、これら三つの特性を併せ持つ物質系をいう。いま、いきている生物体と死んで間もあく屍体とを化学分析して、この化学成分を比較したとしよう。おそらく、両者の成分の間にはほとんど差はないと考えられる。 　しかし、一方はいきているし、他方は死んでいる。その違いは、どこからくるのだろう。それは、その生物体を構成している物質系が、前者では上に述べた３属性をそろえているのに、後者はそれらを失っているからである。生命は、一般社会で理解されているように、物質系そのものではない。その物質系がかもし出す属性が生命である。 　しかし、一方はいきているし、他方は死んでいる。その違いは、どこからくるのだろう。それは、その生物体を構成している物質系が、前者では上に述べた３属性をそろえているのに、後者はそれらを失っているからである。生命は、一般社会で理解されているように、物質系そのものではない。その物質系がかもし出す属性が生命である。 * * 生命という言葉は、一般には