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大学院で法律を学んで ‐‐「立法試験」創設の必要性‐‐ 鴻阜山人　　 ＜私の経験＞ 私が何故法律を学ぶようになったか。　それには父の影響が大きかったと思います。　 東大の法学部出身の父は私の進学についての相談に無条件で法律を勧めたのです。　 私も何もわからずにそれに従ったのでした。　 日本の法律学科ほど退屈なところはありませんでした。　法律の条文、学説、みな暗記物です。　簡単に言えばあまり物事に疑問を持たずに暗記物の得意な人に有利に出来ているようです。　私は暗記物が不得手ですし、全く勉強への興味を失っていました。　 ところが、カナダのマギル大学の大学院に留学して法律の違った側面に触れたのです。　 それは一口で言えば法律を作る楽しみです。　彼らにとって法律は色々な意見を持ち、行動する人間をコントロールするための手段であります。　 どのような仕組みにすれば、効果が得られるのか、効力がどれだけの期間続くのか、古い仕組みとの整合性はどうとるのか、これらは条文の作り方一つで変わってくるのです。 まさに社会の仕組みを作る面白さです。　 作られた法律を解釈することなど彼らの眼中には殆どありません。 例えば、 （１）国連の本部がニューヨークでなく、モスクワにあったらどうでしょう。 現在の国連の本部の人間は米国人が多く、陰に陽に本部所在地の影響を受けているのは周知の事実です。　本部をどこに置くという一文がその後の活動に長く影響を与えているのです。 （２）米国が月面に国旗を打ち込んだことで、領有権を主張できるか。 国旗を打ち込んだことでは領有したことにならないならば、どんな事態になれば主張できるのでしょう。　恒久基地を設けたらどうでしょうか？　 南極大陸の場合と同じでしょうか？　多分、違うでしょう。　 そして、このところ、大航海時代の再来といわれ、米国やソ連だけでなく、 中国やインドも月に関心を寄せて、具体的な実績作りの手を打ってきています。 こうゆうことを研究することが法律家の役割なのです。 閑話休題 法律は作られて、目的を果たし、消えるといった変化というか循環をします。 日本で法律を学ぶ学生の優秀な者は司法試験を目指します。　 すなはち、「法律＝司法」という感覚になっているのではないでしょうか？　 司法とは具体的な争訟について、法を適用し、宣言することにより、これを裁定する国家作用とされています。　 本当は「法律＝立法」の感覚も重要なのです。　 立法とは（形式的意義においては議会の議決を経て成立する法律を制定することをいう）実質的意義においては法規を定立する国家作用とされています。 法律を作る人に資格試験はあるのでしょうか？　それが無いのです。　 現在の作られたものを解釈する司法試験の難しさに比べ、より重要な法律を作る作業（立法）に携わる人に資格が無いのはアンバランスだと思いませんか？　 法律を作る作業をするのは基本的には立法府である国会、すなわち、代議士の分野となるのです。　（下位の命令の場合は行政機関が制定します。） 代議士には立法の知識や経験のない人が多く、実際には大部分の法律が代議士の手ではなく、官僚の手で作成されているのです。　 官僚は元来、行政機関に属しています。　ですから、行政機関としての自分たちを守るのに都合の良いように法律を作ることになるのです。　その結果、官僚は行政だけでなく立法を含めた大きな権限を握ります。　 官僚の横暴や腐敗を正したいのなら、まず、立法府が自身で立法するように仕組みを改め、三権分立の本来あるべき姿に直すことが先決なのです。 ＜法律の不備＞ そして、近頃は官僚により作られた法律に不備が見つかることが続々と起きているのです。 話題になり、気が付いたものの幾つかをあげておきます。 ?危険運転致死傷罪を新設する刑法改正にかかわるもの 危険運転致死傷罪が適用される条件は次のとおりです。 （１）アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の 自動車を運転した場合。 （２）進行を制御することが困難な高速度で四輪以上の自動車を走行させた場合。 （３）進行を制御する技能を有しないのに四輪以上の自動車を走行させた場合。 （４）人又は他の車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入したり、 進行中の人又は車に著しく接近し、かつそれが重大な交通の危険を生じさせる 速度で四輪以上の自動車を走行させていたとき。 問題点の幾つかを指摘してみます。 １．「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」というのが極めて 曖昧であること アルコール又は薬物の影響を調べるには、通常呼気検査実施「ひき逃げ」刑の比較ですがたとえば飲酒の「危険運転」状態で被害者死亡の場合は ①　その場で警察に連絡　 　危険運転致