内分泌薬理h14.docVIP

内分泌薬理　　　　　　H１４．１．３１　　　教官不明　　作成：多田祐子 天然ホルモンと化学合成によるもの（agonist , antagonist）がある．これらは、薬物として以下のように用いられる． 補充療法：内分泌産生器官の機能不全によるホルモンの不足を補う． 薬理療法：大量にホルモンを与える事により効果を得る．対症療法であることが多い． 拮抗薬：内分泌産生器官の機能亢進時に与え、正常な血中レベルに戻す． フィードバック制御の利用：分泌量の調節や内分泌器官の機能検査に用いる． 視床下部ホルモン：下垂体前葉からのホルモン放出を促す CRH : corticotropin releasing hormone : コルチコトロピン(ACTH)放出ホルモン ?ACTH産生機能に異常があるかどうか調べるのに用いる． TRH : thyrotropin releasing hormone : 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン ?下垂体甲状腺系の機能検査に用いる． GIF : somatostatin / GH release-inhibitory factor : ソマトスタチン / 成長ホルモン放出抑制因子 ?　末端肥大症の治療　これはインスリン分泌を抑制するため糖尿病を誘発する危険性を持つ．従って、合成ホルモン（GIFのN末から８a.a.削除）であるoctreotide(オクトレオチド)を用いる． GHRH : GH(growth hormone) releasing hormone : 成長ホルモン放出ホルモン 　?GH産生能があるかどうか調べるのに用いる． GnRH : gonadotropin releasing hormone : ゴナドトロピン（性腺刺激ホルモン）放出ホルモン 　?Gn分泌機能検査に用いる．下垂体疾患と性腺機能不全との識別を行う． Dopamine : ドーパミン 　プロラクチン放出抑制作用を持つ． （なお、GHRHとCRHはcAMP系を、TRHとGnRHはPLC系を、ソマトスタチンはK channel を介して作用し、ドーパミンはGiが関与している．） 下垂体前葉ホルモン Somatropin ( GH ) : ソマトロピン 受容体はチロシンキナーゼ型． 肝臓でソマトメジンCの合成を促進し、 身長増加?タンパク質同化作用?電解質作用（Ca2+, Na+, K+の蓄積）を持つ． 抗インスリン作用がある． ?下垂体性小人症の治療に用いる． Prolactin : プロラクチン 　乳腺の発達?乳汁分泌に必要なホルモン 　ドーパミンによる放出抑制を受ける． TSH : thyroid stimulating hormone : 甲状腺刺激ホルモン ?甲状腺機能低下症において、甲状腺性か下垂体性かの鑑別に用いる． Gonadotropin : ゴナドトロピン / 性腺刺激ホルモン ゴナドトロピンには以下のものがある． 　FSH : follicle stimulating hormone : 卵胞刺激ホルモン 　　　♀：発育卵細胞の形成 　　　　♂：精子形成 　LH : luteinizing hormone : 黄体形成ホルモン 　　　　♀：卵胞成熟、エストロゲン産生 　　　　　　黄体形成、プロゲステロン産生 　　　　♂：アンドロジェン分泌 薬として用いられるのは、 HMG ( Human Menopausal Gonadotropin ) : 更年期女性の尿より得たもの．（更年期女性の尿には多量のゴナドトロピンが含まれている．） HCG ( Human Chorionic Gonadotropin ) : 妊婦尿より得た胎盤性ゴナドトロピン 以下の目的に使われる． ?♀：下垂体性無月経者の排卵誘発 ?♂：（Gn欠乏による）精子形成不全の治療 ACTH : adrenocorticotropic hormone : 副腎皮質刺激ホルモン 　コレステロール系の代謝（choresterolをpregnenoloneにする）によりステロイド（糖質コルチコイド）の合成を促す． 　?副腎皮質の機能検査に用いる． （なお、GHとProlactinはチロシンキナーゼ型受容体に結合して作用し、GnとACTHはcAMPを介して作用する．） 下垂体後葉ホルモン Vasopressin : バゾプレッシン 　視索上核で作られ、下垂体後葉から放出される抗利尿ホルモンである． 　２つの受容体がある． 　V１ receptor : 血管収縮作用（PLC系を介し、平滑筋を収縮させる．）ただし、大量投与した時にしかこの作用は出ない． 　V２ receptor : 腎の集合管に作用し水の再吸収を促進する．（cAMP系を介す．） ?