展開図が三角形になる四面体-HORIBE.docVIP

四面体の体積および存在条件 ［はじめに］ 四面体の体積を表す公式は、ベクトルや座標を用いるととても簡単に表現できる。 ここでは、四面体の６辺の長さから直接、体積を表す方法を考える。 §１　ベクトルを利用して ［準備］ ３次元ベクトルを考察する。座標は右手系とする。 また、等と表し、と同一記号を２つの意味で使用する。 他の文字についても同様とする。 ［行列と行列式について］ 　を正方行列とする。すると 　　　　 である。証明は、様々な線形代数の教科書を参照のこと。 ［記号］ 　内積　 　外積　 　この外積の記号を用いれば、［準備］の右手系とは、のことである。 　　のことを三重積と呼ぶ。具体的に計算してみると、 　　 　　 　　となる。すると即次が確認できる。 したがって、または、と表し、三重積と呼ぶ。 ［性質①］ 　　　　　 ［証明］ 　　左辺 ［性質②］ 　３つのベクトルで張られる平行６面体の体積をとすると、 である。 ［証明］ 　　 　ただし、は２つのベクトルとのなす角であり、は２つのベクトルとで張られる平行四辺形の面積である。 ［性質③］ である。 ただし、，， ［証明］ 　　より、 　　 よって、 同様に、 　　， さて、性質②より、なので、性質①を用いると、 ［例①］,のとき、 したがって、となり、１辺がの立方体の体積を得る。 ［例②］,のとき、 したがって、となり、１辺がの正四面体の体積の６倍となる。 ［例③］,のとき、 したがって、となり、６辺が全ての平行６面体で、２組の側面が正方形で残りの一組が菱形の立体の体積を得る。 ［性質④］ 　右の図のような四面体の体積をとすると、 となる。 ［証明］ 　性質③と、より明らか。 ［おまけ］ さて、を展開すると、どのような式になるのか、???とても面倒な式です。 しかし、そこには、自ずとある法則???当然「四面体群」で不変な式です。 であるから、「式」そのものにも、何らかの法則性が見て取れる、と予想。 以下、そのことに触れる。 　計算を簡単にするため、以下等と、次数を半分にして表現する。［性質④］の行列式を展開する。 　　　 　そしてこれを展開、整理すると、 　　 　　　　　　　　　　　　　 　そして、次のように２つの部分に分類すると、その差で表現できる。 　　 と置くと、 となり、 である。 　次数を等と元に戻す。 　 　　 但し、 §２　初等幾何を利用して §１では、ベクトルを用いて四面体の６辺から直接に体積を求める公式を導いた。ベクトルの概念が生まれる前にも、我々は四面体を考察していた。では、直接に（初等幾何的に）求める方法は無いだろうか。以下、本質的には「ピタゴラスの定理」のみで計算してみた。 ［記号］ 三辺の長さがである三角形において、 とおくと、その面積はであるので、右の図のような三角形の高さは、 　 と表される。 ［準備］ 　右の図のような（直）三角柱では、 が成り立つので、 となる。したがって、 ただし、とした。 　　　（注）簡単のため余弦定理で説明しているが、ピタゴラスの定理だけで同じ等式を得ることができる。 ［本題］ （注）ここでも、文字は［準備］と同様な使い方をした。 　四面体O-ABCを含む（直）三角柱を考える。 OH= AI= また、 CH= 同様に、 BI= よって、 HI= を得る。したがって［準備］より、 OJ である。よって、四面体O-ABCの体積をとすると、 つまり、 　　但し、は、上記の通りとする。 である。 これで、一応、体積の公式は出来たのだが、§１で求めた公式と同じであることを確かめる。 ［確認］ 　 よって、 　すべての項が偶数乗なので、見た目の次数下げをする。以下、等と置き換えをし、と表す。 　 右辺をについて整理すると、4次と定数項は無くなる。そして、両辺をで割る。 　 以上で、文字に関する降べきの順での整理が終わり、を6変数で表した。 ここから、§１［おまけ］で考えた項の分類にしたがって整理する。 　以上で、§１と同じ結論の公式を得た。 再度、最後に次数を等と、元に戻す。 　　 但し、 　 また、計算の途中で次の等式を得た。 　　　但し、は、上記の通りとする。 §３　四面体の存在条件 ［はじめに］ 　３つのベクトルで張られる四面体の存在条件は、 　　「が１次独立である」 と表現できる。 　では、６つの辺の長さを用いた存在条件は何であろう