物体挙上動作時の質量予測不一致による体幹筋収縮反応.PDFVIP

物体挙上動作時の質量予測不一致による体幹筋収縮反応 介護予防マネジメントコース 5008A330-4 渡邊昌宏 研究指導教員： 岡浩一朗准教授 I. 緒言 合（以下、予測外 4.0kg）の 1 種類、計 3 種類でおこ 腰痛予防には、腰痛を安定させるための体幹筋 なった。重量物挙上は予測 1.0kg、予測外 4.0kg、 の収縮が重要である。物体を自ら動かす時に、予 予測 4.0kg の順序にておこなった。 測外の重さであったときの体幹筋の反応変化の報 3. 筋電計測（Electromyography、以下ＥＭＧ） 告はまだされておらず、本研究では、成人男性の 被検筋はいずれも左右両側の、腹横筋、多裂筋、 体幹における深層筋（ローカル筋）と浅層筋（グロー 腹直筋、外腹斜筋、脊柱起立筋の左右 5 筋ずつ計 バル筋）の筋収縮反応の傾向を解明することを目 10 筋とした。電極は、左右腹直筋、左右外腹斜筋、 的とし、予測よりも重い重量物を挙上したときの体 左右脊柱起立筋には表面電極を用い、体幹深部 幹筋を、表面電極およびワイヤ電極にて分析、全 にある左右腹横筋、左右多裂筋に対してはワイヤ 被検者および腰痛既往の有無により、各々の筋の 電極を用いた。 筋放電開始時間の出現差違について比較検討し 4. 測定処理とデータ解析 た。 デジタル変換され記録されたデータは BIMTUS －Video で読み込み、光刺激と物体挙上までの時 II. 方法 間差と光刺激から各々の筋電波形の筋放電開始 1. 被検者 時までの時間差（潜時）を算出した。 実験実施時に腰痛の訴えがなく、本研究への同 意を示した成人男性 6 名を被検者とした。過去に III. 結果 腰痛の訴えがなかったもの 2 名、過去に腰痛の訴 1. 光刺激から物体挙上までの時間比較 えがあったもの 4 名であった。被検者には研究の趣 光刺激から物体挙上までの時間は、条件の違い 旨を文書ならびに口頭にて説明し、研究内容を十 によって有意差を認められなかった。 分に理解してもらった上で同意を得、整形外科医 2. 各被検筋の条件別の平均潜時 立会いのもと実施した。 すべての筋において条件による筋放電開始まで 2. 動作課題 の潜時には統計的に有意な差はみられなかった。 動作開始肢位は端坐位とし、テーブル上の重量 しかし、腹直筋、外腹斜筋には、予測時に比べ予 物の位置は被検者の正中線上で上肢長から 5cm 測外 4.0kg 挙上時では早期に筋放電を開始する傾 引いた部位とし臍の高さとした。テーブル上に提示 向がみられた。また、腹横筋の予測 1.0kg と予測外 された重量物をライト点灯による光刺激を合図に右 4.0kg ではほぼ同じ潜時を示したが予測 4.0kg では 上肢で目標目線ライン上の高さまですばやく挙上 早期に筋放電を開始する傾向がみられた。 するように指示した（以下、挙上動作）。 3. 各条件