高齢者における歩行に必要な下肢筋力の検討.PDFVIP

高齢者における歩行に必要な下肢筋力の検討 日大生産工(院) ○萩原 礼紀 日大･医学 吉田 行弘 龍 順之助 日大生産工 堀江 良典 勝田 基嗣 1.緒言 の日数。理学療法の回数とした。 これまで高齢者の歩行を対象とした研究の中で、 2-4 理学療法 加齢による筋の量的変化に関する検討は多くなされ 術後のリハビリテーションとして1日40分の治療 ている1.2.3.）。歩行能力低下の原因と して下肢筋力の を週6回、当科のプロトコルにしたがって実施した。 重要性は明らかであるが4.5)筋量≒筋力低下が歩行能 2-5 経過 力の低下という見方で問題の解決はされない。身体 全症例とも術後合併症を発生することなく階段昇 機能評価や重心動揺検査で異常所見が認められて 降、屋外12分間歩行も自立し、自宅退院となった。 2-6 統計処理 も、自助具､補助具を使用し自立した生活を過ごして 術前後の脚筋力はWilcoxsonの符号付順位検定を いる人は珍しくない。また臨床の場において、下肢 用い、歩行時間と筋力の相関関係はPearsonの相関分 筋力が十分とは言えない症例でも歩行が自立し社会 析を用いて検討した。有意水準は5％未満とした。解 復帰して行く例を少なからず経験する。今回筆者等 析用ソフトはSPSS 10.0J for windowsを用いた。 が勤務する施設において、両側同時人工膝関節置換 3.結果 術を施行し、歩行が自立、自宅退院となった症例の 3-1 入院日数と理学療法回数 下肢筋力を測定し、検討した。術前、術後のデータ 入院日数26日±7日。理学療法回数18±1回。 から若干の知見を得たので報告する。 3-2 歩行時間と歩数 2.研究方法 術前後の10ｍ歩行時の歩数と時間を比較したとこ ろ有意差は認められなかった。 2-1 対象 2003年11月より2004年10月までの間に両側同時人 工膝関節置換術（以下両側 TKA）を施行し、当科で 40 リハビリテーションを実施した87症例のうち65歳以 上で，循環器疾患、平衡機能障害を合併する変性疾 30 c 患、痴呆等高次脳機能障害、他の変形性関節症、脊 e s , 20 p 柱を含む著明なアライメント異常の合併がなく、術 e t s 前後に全ての評価項目を満たせたもの34症例、男性4 10 名、女性30名、平均年齢