高校生ポスター発表 般社団法人日本生態学会.PDFVIP

高校生ポスター発表 3 月 17 日（水）13:00-15:30 521 522 高校生ポスター発表　3月17日（水）13:00-15:30 P2-HS01 P2-HS01 P2-HS02 宮城島におけるオカガニの繁殖生態の研究 六甲山におけるキノコの長期観測データを用いた出現種 *田港貴之，伊良皆隆希，比屋根功将（沖縄県立那覇高校） 数の推定および気象要因との対応分析 オカガニは陸に棲みながら、幼生期を海で過ごすため、繁殖期の *森田綾子，大西里佳（兵庫県立御影高校） 満月前後の夜には、海岸でメスが放卵する行動が観察できる。1996 六甲山におけるキノコの生物多様性の実態を明らかにするため「兵 年に宮城島での産卵降海についての論文があり、それと比較できる 庫きのこ研究会」、「兵庫県立人と自然の博物館」と連携し、現地で ことから、宮城島でオカガニの繁殖生態に関する調査をした。まず のキノコ調査と標本化を行っている。今回の研究発表は、同研究会 1996 年調査と同様に海岸線での出現個体数をカウントした。５月 との過去８年間（３月～１１月）の観察データを用いて将来的な出 ～１０月の満月の夜の２日前から満月の日までの３日間、19:30 ～ 現種数の推定、各種の出現傾向の分析を行った。まず出現種数の推 21:30 まで３０分おきに計４回、海岸線でルートを決め、出現した個 定では、前提条件が異なる４つの方法を設定し、各方法で経年ごと 体数を記録した。海岸線から最も近い幹線道路でも、出現個体数を に新規加入する種数の減衰傾向を回帰式に適合させ、数式から新規 カウントした。また、同日・同時刻に調査区域で見つけたオカガニ 加入が 1 種以下となる年数までの積分値を求めた。設定した前提条 を採集し、甲長・甲幅・はさみの大きさを測定した。測定したオカ 件は、回帰式、初年度の値、同定不確定種（spp となる種）の取り ガニの各脚にマーキングした。 扱いの点で異なる。４つの方法で検討した結果、新規加入が１０種 ６ヶ月の調査の結果、海岸線では計 1027 個体、道路調査では計 以下となるまでの年数は 8 ～ 29 年、1 種以下となるまでの年数は８ 1249 個体のオカガニを確認した。捕獲した 175 個体の各部位の測定 ～２４１年、推定種数は７１４～１９５３種と推定された。この推 結果は、甲幅 3.4cm ～ 8.4cm で、平均 6.3cm だった。１３年前と比 定値と各地でのキノコの確認種数や同研究会の経験的な推測数と比 べ、全体の産卵個体数に大きな差はないが、産卵時期が１ヶ月ほど 較して、推定種数として 1000 ～ 1300 種が妥当だと判断した。次に 早くなっていることがわかり、産卵生態の年変動が示唆された。また、 キノコの出現傾向を分析するため、まず出現頻度別に（１）いつで マーキング個体の再捕獲により、オカガニは少なくとも年２回は産 も見られるキノコ、（２）季節性のキノコ、（３）一過性のキノコ、（４） 卵できることが確認できた。宮城島は車の通りが少ないにもかかわ 希少キノコの４つのグループに分けた。その結果、出現頻度が 8 年 らず総轢死個体数が５０個体以上あり、これは、オカガニが２度産 間を通じて 1 ～９回となる（４）グループが約７０％と大半を占め 卵できることを考えると、数千万粒の卵の損失となる。 た（同定未確定種を含む）。さらに、グループごとにキノコの発生と 関係が深い降水量との関わりを調べた。解析は、観察日を基点として、