農学を創った人、農学が創ったもの.PDFVIP

東京大学創立 130 周年記念事業 東京大学農学部公開セミナー 第 33 回 農学を創った人、 農学が創ったもの （講演要旨集） 外山亀太郎が興したカイコの遺伝学の今日的意義 生産・環境生物学専攻 教 授 嶋 田 透 エビの養殖について (独)国際農林水産業研究センター 主任研究員 東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授（連携教員） マーシー・ニコル・ワイルダー (日本語で講演) パネルディスカッション 農学を創った人、農学が創ったもの 日 時 2007 年 11 月 3 日（土）13 ：30～16 ：30 場 所 東京大学弥生講堂・一条ホール 主 催 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部 共 催 （財）農学会 目 次 外山亀太郎が興したカイコの遺伝学の今日的意義 ……… 1 生産・環境生物学専攻 教 授 嶋 田 透 メンデルの法則は、1900 年に植物で再発見されたが、動物でも同じ法則 が成り立つことは、1906 年の外山亀太郎の論文によって世界で初めて証明 された。使われた生物はカイコ、これが動物遺伝学の誕生である。当時、明 治政府は日本の近代化の柱として蚕糸業へ注目し、その振興を図っていた。 外山は自らの理論と経験から養蚕業へ一代雑種（交雑種）を導入すべきこと を主張し、実際に蚕糸業法のもとで実現させた。その結果、生糸の大幅増産 が可能になり、蚕糸業は日本の基幹産業へ成長していった。それから 101 年の時を経て今年 2007 年、カイコの全ゲノムが解読された。いま外山が生 きていたら、この情報を何に活かそうとするだろうか。 エビの養殖について ………………………………………… 8 (独)国際農林水産業研究センター 主任研究員 東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授（連携教員） マーシー・ニコル・ワイルダー 近年、エビ養殖が世界的に大きな産業となっており、急激な発展を遂げて いる。現在、世界中で生産額としては９０億ドルものエビが生産されており、 そのうちの約７５％がアジアで生産されている。日本のスーパーマーケット でおなじみのブラックタイガーが市場の大きな割合を占めていたが、最近で はバナメイエビ生産も増えている。このほか、淡水産のオニテナガエビの生 産も世界的には増えているが、まだこちらは日本ではあまり一般的ではない。 いずれにしても、私たちが日常食べているエビのほとんどは、海外からの輸 入に頼っている。エビの養殖技術は多様であり、近年、エビ養殖のもたらす 環境問題を最低限に抑えて、さらに産業の持続性を向上させる様々な研究や 工夫が行われている。 パネルディスカッション 農学を創った人、農学が創ったもの ……………………… 15