视点B－2【小学校道徳】伊万里市立朁山代小学校.PDFVIP

視点 Ｂ－２【小学校 道徳】 伊万里市立東山代小学校 教諭 佐志 健 要 旨 道徳の時間において，教師 と児童又は児童相互のかかわりにおいて，児童が，互いの思いや考 えを認め合うことができるように，ＴＴによる指導や少人数による意見交換の活動に取り組ん だ。具体的には，ＴＴによる資料提示 と書く活動へのかかわり方の工夫，また，意思表示をさせ た上での児童相互による意見交換の活動の工夫を行った。 その結果，児童に自分の考えをもたせ，自信をもって考えを深め，意見交換によって考えを広 げさせることで，道徳的価値の自覚を深めることができた。 〈キーワード〉 ①ＴＴによる指導 ②意見交換 ③資料提示 ④かかわり方 ⑤意思表示 １ 研究の目標 児童が，互いの思いや考えを伝え合い認め合うことの大切さやよさを感じ取れるような活動を工夫 することを通して，伝え合おうとする心情をはぐくむ指導の在り方を探る。 ２ 目標設定の理由 子どもは，家族や友達，教師など身近な人との安心できる生活の中で，様々なかかわり合いを通し て成長する。しかし，少子化や核家族化など子どもを取り巻く社会の変化に伴い，相手を目の前にし た，心と心を直接触れ合わせるコミュニケーションは少なくなっているという指摘がある。また，急 激な情報化が進む中，ゲームやテレビなどでバーチャルな世界にのめり込んでしまい，現実との区別 がつかなくなってしまっている子どもや，友達とうまくかかわ りをもてない子どもが多くなっている ようである。 道徳の時間は，教師と児童又は児童相互が，資料や自分の経験を通して自分の思いや考えを伝え合 い認め合う時間である。道徳の時間において，友達の考えや教師の思いを聞いたり自分の意見を伝え たりすることは，それこそが人との “かかわり”であり “伝え合い”の経験と言える。その伝え合い の活動を工夫し，児童に伝え合うことや認め合うことの大切さやよさを実感させることで，伝え合お うとする心情をはぐくむことができると考え，本目標を設定した。 ３ 研究の仮説 教師 と児童又は児童相互のかかわりにおいて，次のような手立てをとれば，児童が自分の思いや考 えを表すことのよさを感じ，道徳的価値の自覚を深めることができるであろう。 ① 登場人物の気持ちをとらえさせるために，ＴＴによる資料提示を行う。 ② 自分の考えを深めさせるために，書く活動へのかかわり方を工夫する。 ③ 自分の考えを広めさせるために，児童一人一人に意思表示をさせた上での意見交換の活動を工 夫する。 ４ 研究の内容と方法 (1) 道徳におけるＴＴの指導について理論研究をし，授業実践を基に仮説を検証する。 (2) 少人数による意見交換の活動について理論研究をし，授業実践を基に仮説を検証する。 - 80 - ５ 研究の実際 道徳的価値 (1) 研究の全体構想 の 自覚 道徳の時間において，教師と児童又は児童相互の伝え合い をより豊かにするためには，児童が自分の思いや考えを表し ①ＴＴによる資料提示 やす くすることや，表したいという気持ちにさせることが必 ②書く活動へのかかわり方の工夫 ③意思表示 をさせた上での意 要である。 見交換の活動の工夫 自分の思いや考えを表すことが苦手な児童は，登場人物の 気持ちに迫ることができなかったり，自分の考えに自信をも