山口刑务所岩国刑务所见学记山口刑务所.PDF

刑事拘禁制度改革実現本部ニュース No.38 山口刑務所・岩国刑務所 見学記 山口刑務所 刑事拘禁制度改革実現本部委員 寺﨑 裕史 （61 期） 後列右から4人目が筆者 1．収容人員等 3．医療について 　山口刑務所は，収容定員633名（既決536名，未決97名） 　常勤医療スタッフは，外科を専門とする医師1名，正看護 の施設であり，2013年9月2日の見学実施時点での収容人 師1名，准看護師2名，非常勤スタッフは，薬剤師2名がお 数は，既決357名，未決31名，収容率61.3％という状況 り，その他，外部の歯科医師，精神科医に委託を行ってい であった。 るとのことであった。 　収容対象者は，刑期10年未満で犯罪傾向の進んでいない 　軽度の生活習慣病や感染症，精神疾患，切り傷等は所内 26歳以上の男子受刑者，未決拘禁者のほか，労役場留置 で対応可能であるが，ガンやHIV，腎不全等の重い疾病は， 者である。 所内では対処不能であり，外部病院で治療を行うとのことで 2．施設の特色 あった（2012年8月から2013年7月までの外部治療件数 　山口刑務所は，全国で8箇所存在する総合職業訓練施設 は96件）。 （自所に収容中の受刑者以外に全国から受刑者を受け入れ， 　歯科治療について，見学時点での順番待ちの人数は46名， 職業訓練を行う施設）の1つであり，理容，溶接，数値制御 平均待ち時間は約1ヶ月とのことであった。 機械，工芸，ビル設備管理，情報処理等全13種目，定員 　山口刑務所については，2013年2月27日付で，刑事施 181名の訓練を実施している。 設視察委員会より，外部医の診察を迅速に受けさせるように 　上記の職業訓練定員は，山口刑務所の受刑者収容定員の 努めることを求める意見が提出されているが，刑務所側とし 約33.8％にあたるところ，同日に見学を行った岩国刑務所 ては，受け入れに応じてくれる医療機関を探すのに苦労して の上記の割合は約5.6％であるから，山口刑務所における職 いる様子であった。 業訓練の規模の大きさが窺われる。 4．その他 　資格等は，理容師，溶接技術者証明，ボイラー技師等の 　山口刑務所刑事施設視察委員会からは，十分な自殺防止 ほか，ITパスポートやマイクロソフトMOSも取得でき，見 策をとることを求める旨の意見も提出されているところ，被 学時も，デスクトップPCを利用した職業訓練が実施されて 収容者の自殺の問題については，①刑務官内で，自殺の懸念 いた。 がある被収容者がいないかどうか，互いに注意喚起を行い， 　また，東京・大阪のハローワークから，テレビ電話を利用 巡回を強化したり，②被収容者による自殺方法を研究し， した就労指導等が受けられるとのことであり，こうした運用 その実行を不能にする工夫（タオル掛けに切り欠きを入れた がなされているのは，全国77箇所の刑事施設の中で，山口 り，居室の棚の角を落として丸くする等）をして対処してい 刑務所を含む2施設のみとのことであった。 るとのことであった。 　なお，職業訓練が充実している