生活习惯病-toyama.PDFVIP

生 活 習 慣 病 第一薬品工業㈱ 福永 倍雄 高血圧や動脈硬化、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病などの病気は、約１０年前までは「成 人病」と呼ばれていました。しかし、その多くが日常生活の態度と深い関わりがあること が分かり、「生活習慣病」と呼び改めるようになりました。生活習慣病は子供も含めて、 一生にわたって健康的な生活を心がけ、病気になることを予防すべきものとの意味も含ま れています。 病気を進行させる生活習慣 生活習慣病の発症には、生活習慣だけでなく、環境要因や遺伝的要因など、複数の要 因が複雑に関与しています。しかし、そのなかでも、最も関わりが深いのは生活習慣で す。 生活習慣病が増加した背景には、豊かな日常生活が大きく反映しています。豊かな食 生活は食べ過ぎなくても、摂取エネルギーが過剰となります。その一方で慢性的な運動 不足により、消費エネルギーが減少し、この極端なアンバランスが生活習慣病を発症さ せる要因となっています。又、ストレスの増大も大きく影響しています。 ○豊かな食生活 ハンバーグやカレーライス、スパゲティー等は現代人がよく食べる食事です。戦後 の食生活の欧米化は、外食だけではなく、家庭にまでも進出しています。しかし、こ れらは高カロリー、高脂肪食の代表で、肥満を促すだけでなく、高脂血症や糖尿病な どを発症させて動脈硬化を促進、更には心臓病などを引き起こす原因になります。 しかも、これらの料理は、子供が好んで食べるものなので、子供の健康にも大きな影 響を与えており、生活習慣病の低年齢化につながると言われています。 ○運動不足 自動車を中心とした交通機関の発達、労働の機械化、家庭生活の電化など、現代人 の暮らしは大変便利になりました。昔の人のように、歩かなくて良い生活、体を動か さなくて良い生活が運動不足を招き、消費エネルギーの低下や身体機能の低下を促す 原因となっています。 ○ストレスの増大 社会環境が複雑になり、精神的緊張が続く生活は、現代人をストレス状態に陥らせ ています。ストレスは単なる心身症というだけではなく、生活習慣病をはじめとした - 1 - あらゆる病気の引き金になります。さらに体の不調感や異常感、又、ストレスの増大 にしたがって増える飲酒や喫煙などもあいまって、我々の健康に大きな影響を与えて いるのです。 ○サイレントキラーと呼ばれる生活習慣病の恐ろしさ 生活習慣病の多くは、本人に全く自覚症状のないまま進行します。高脂血症もその 一つで、知らない間に動脈硬化が進行していき、いきなり心筋梗塞や脳梗塞を引き起 こし、時には死に至ることもあるため、サイレントキラー（沈黙の殺人者）と呼ばれ ています。又、健康診断などで、お医者さんから高脂血症と言われても、本人は痛く も痒くも無いため、お医者さんから指示された注意事項を忘れがちになり、放ってお くケースがよくあり、気が付いたらいつの間にか重症になっていたということが多い のです。生活習慣病について十分な知識と意識を持つことが重要です。 ○生活習慣病予防の第一歩は定期検診 このように自覚症状のない生活習慣病を早期に発見し、又、予防するためにはどう したらよいのでしょう。それに欠かせないのが定期検診です。検診では、必ず尿検査 や血液検査が行われます。下表参照。これらの検査の数値の結果によって、高脂血症 や糖尿病などの早期発見が可能になります。自覚症状が無いため自分は健康なんだと 思いこんでいる人に、往々にして定期検診を受診しなかったりする人が見受けられま す。病は静かに進行している可能性もあるのです。定期的な検診で常に健康チェック を行いながら、自分の体を守っていくことを心がけることです。 高脂血症、糖尿病、高血圧に関連した主な検査項目とその基準値 基準値 関連する生活習慣病 総コレステロール １５０～２１９ｍｇ／ｄｌ