首都圏郊外鉄道駅周辺部（神奈川県県央西地域）.docVIP

H17年度　社会工学類都市計画専攻　卒業研究中間発表会　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2005/12/07 首都圏郊外における鉄道駅周辺商業集積の変容実態とその課題－神奈川県県央?県西部を事例として－ 発表者：200200931　阿藤卓弥 指導教官：大村謙二郎 1.研究の背景と目的 　首都圏郊外(1)では、戦後?高度経済成長期における人口流入?首都圏の拡大とともに鉄道駅（以下、駅）を中心とした商業集積を形成し、駅周辺部は相互に競争しつつ成長してきた。しかし近年では、首都圏郊外への人口流入に歯止めがかかったことによる駅間競争の激化や、モータリゼーションの進展によるロードサイドショップの発達といった社会構造の変化が起きているとともに首都圏郊外の駅周辺部はますます厳しい環境に置かれるようになっている。 そのような中、これまで大規模な商業集積を形成し商業的な拠点性を有してきた駅周辺部(以下、大規模駅周辺部)では、大型店(2)撤退事例がみられる一方で、コンビニエンスストアやドラッグストアなど最寄性の高いチェーン店舗の立地が駅周辺部において進展する動向が近年見られている。そのような店舗の入れ替わりにより、大規模駅周辺部は商業集積としての拠点性を喪失させつつあるのではないだろうか。そのような問題意識に基づき、本研究では大規模駅周辺部における商業特性の変容に着目した。 首都圏郊外の商業集積に着目した既往研究としては、神奈川県中央部を対象とした都市基盤整備と駅周辺部の関係性に関する研究1)や後背圏人口や幹線道路網整備と駅周辺部の関係性に関する研究2)など基盤整備や後背人口増加による駅周辺の成長力増加に言及したものはあるが、商業集積内部の変容を詳細に扱ったものはない。 そこで本研究では、首都圏郊外の特に大規模駅周辺部に着目する。まず、駅周辺部を類型化し、その規模と成衰動向を把握する。そして、各類型の変容実態や特性を把握するとともに成長傾向にある駅周辺部や周辺郊外部との比較を通して、大規模駅周辺部の衰退要因を抽出し、駅周辺部における課題を明らかにする。そして、首都圏郊外部の駅前における商業環境の整備に対する示唆を得ることを目的とする。 2.首都圏郊外部における駅周辺部の類型化 2-1.分析目的と分析対象 首都圏郊外における駅周辺部の特性を把握するため、商業統計指標を用いて駅周辺部の類型化を行う。類型化にあたり、本研究では首都圏郊外部の中でも、商業集積地区店舗数における駅周辺部店舗数の構成比が64%と全国で最も高い割合となっており４)、駅周辺部を中心として商業が発達しているといえることから、神奈川県県央?県西部に位置する主要な駅周辺部(4)を分析対象として選定した。 2-2.駅周辺部の類型化 　次に抽出された駅周辺部ごとに商業統計指標を集計し、主成分分析により成衰動向などの商業特性を把握する。用いた指標は2002年小売店舗数、売場面積、年間商品販売額とそれぞれ1994年時点と比較した増減率である。 その結果、Ⅰ軸(寄与率50.3%)は売場面積(0.50)年間商品販売額(0.46)、店舗数(0.41)等が正に付置されたため「商業 集積度」軸と解釈し、Ⅱ軸(寄与率35.5%）は店舗数(-0.39)、年間商品販売額(-0.37）等が負に付置され、年間商品販売額増減率(0.53）、売場面積増減率(0.44)等が正に付置されていることから、正にプロットされるほど“成長しているものの、まだ集積規模は大きくない駅周辺部”と解釈できるため「新興成長―既存衰退」軸とした。また、Ⅲ軸(寄与率8.0％)は売場面積増加率(0.62)等が正に、店舗数増加率(-0.60)等が負に付置されていることから「店舗大規模化―小規模化」軸と解釈した。 　次に主成分分析で得られた主成分得点よりクラスター分析（ユーグリッド距離、ウォード法）によって類型化を試みた。その結果、「大規模?成長型」?「大規模?停滞型」?「中規模?停滞型」?「中規模?停滞駅型」?「小規模型」に分類した。また、大規模?停滞型はⅢ軸からさらに「店舗大規模型」?「店舗小規模型」に分けられた。 3.対象地の選定 　本研究の目的から大規模?停滞型に着目した。また、大規模?停滞型はさらに2類型（以下、停滞型2類型）に分けられる。それらを類型別に分析し、その停滞パターンや停滞要因?課題を把握することは、今後の方策を考察する上で意義がある。したがって、大規模?衰退型の中でも小田原駅周辺部（店舗大規模化型）、本厚木駅周辺部（店舗小規模化型）をミクロ分析における対象地として選定した。 4.停滞型2類型の概況 4-1.小田原駅周辺部（店舗小規模化型）の概況 　市（2004年現在人口19,851人）の中