进化论的ゲーム论.PDF

l川……t…………………………………l………………………l…………………………l…………∥∥＝州l州…州l………1…l…∥∥∥∥∥＝∥……………ll………………lll11州＝∥…………………………l…∥＝∥∥∥∥＝∥∥∥∥∥……ll州l 進化論的ゲーム論 一生物学を超えて一 松井 彰彦 Ilt……………ll………………………………………l川l………l……………………l11…………………l…l……＝∥∥∥∥＝∥∥∥∥………l……………………………l………………ltl……………l………＝∥∥……lt………lllll………＝州州 1 進化論的ゲーム論の誕生 表1：タカ＝ハトゲーム 世の中はゲームであふれています。生物界も決して 例外ではありません。そこでは生死を賭けたゲームが 繰り広げられています。餌を探してうろついている2 匹の動物が同時に食べ物を見つけたとしましょう。2 匹は餌を分けあうかもしれませんし、攻撃的に餌を独 り占めしよう 況ではタカ戦略を採る個体が出現した場合、搾取され 譲らなければ闘い疲れて共倒れになるでしょうし、片 てしまい「タカ」が増えていくことになります。他方、 方がより攻撃的でもう片方が餌をあきらめれば、前者 「タカ」ばかりいる状況ではお互いに傷つけあってしま は餌を独り占めできます。生物学者メイナード・スミ うため、これも安定的になりません。 スとプライスはこのような状況を単純化した「タカ＝ 結局、タカが半分、ハトが半分という戦略の分布が ハト」ゲームと呼ばれるゲームを考察しました【叫。進 進化論的に安定になります。この状態での両者の平均的 化論的ゲーム論の誕生です。 な適応度は共に1．5になります（ハト：2×0．5＋1×0．5， この状況を詳しく見てみましょう。動物社会は多数 タカ：3×0．5＋0×0．5）。ここからタカが51％に増え の個体からなり、各個体は遺伝によって「タカ」ない るとハトの適応性がタカのそれを上回り（ハト：1．49、 し「ハト」に属しています。動物たちは森の中をうろ タカ：1．47）、ハトが51％に増えるとタカの適応性が うろし、ときどき他の個体と出会います。数学的には 上回る（ハト：1．51、タカ：1．53）ため、自然淘汰を通 各個体は単位時間内に他の個体のいずれかと等確率で じてもとの分布に戻る圧力が働いているからです。 出会うと仮定します。このような形で動物たちが出会 この考え方を定式化したのが次の概念です。この定 う状況を（一様な）ランダム・マッチングと呼びます。 義の中で（例えば）Ⅲ（p，9）とあるのはqを採っている ランダム・マッチングの下であるときある2匹が出 個体と出会ったときのpを採っている個体の利得（適 会うと表1にしたがって適応度が決まります。この表は 応度）です。† 4つの組み合わせに応じた適応度（繁殖力）を示して 定義（メイナード・スミス＝プライス）．ある戦略（な います。例えば自分が「タカ」で相手が「ハト」の場 いしその分布）pが進化論的に安定であるとほ1他のど 合、本人の適応度は3になります（相手の適応度は表 のような戦略9を採ってきても次の2条件が成立するこ を読みかえて1となります。本稿では他の表もすべて とである。 この裏記法を用います）。数字が高いほど自身の適応度 （1） Ⅲ（p，p）≧Ⅲ（9，p）， が高いことになり、自分の子孫をより多く増やすこと （2） もし（1）においてⅢ（p，p