平成17年研究成果.pdfVIP

第Ⅲ編 平成 17 年度研究成果 1. 【プロジェクトⅠ】 構造物の地震防災技術に関する研究 1.1 テーマ【Ⅰ-1】 近未来型の構造システムの開発 1.1.1 はじめに 本研究では、対地震性能の極めて高い構造システムを構築するために、エネルギー吸収 効果に優れた制震装置の開発および減衰性能の高い構造物に対する最適設計法について開 発を行っている。平成 17 年度は主に以下の４項目について研究を実施しており、本報で はその研究成果の概要について述べる。 ① 張力導入型トグル制震装置を用いた伝統的木造建築物の保存手法に関する研究 ② 慣性質量効果を含む系の応答性能図表 ③ シリコーンゴム球免震システムの開発 ④ 増幅機構型制震装置を用いた摩擦型ダンパーの基本特性に関する研究 1.1.2 張力導入型トグル制震装置を用いた伝統的木造建築物の保存手法に関する研究 a）研究の概要 〔 〕〔 〕 張力導入型トグル制震装置 1-1-1 1-1-2 は、オイルダンパーを組み込んだトグル制震装置 の構成部材に予め張力を導入しておくことにより、部材に発生する圧縮力を抑制して断面 積の小さな部材で構成可能な装置である。本研究においては、その張力導入型トグル制震 装置の適用範囲を拡大するために、より小さな部材断面で装置を構成できるように改良を 加えて振動台実験を実施し、装置の減衰性能を抽出している。振動実験は、伝統構法によ って製作された実大の木造架構試験体に装置を設置して実施している。また架構の水平剛 〔 〕 性を高める装置 1-1-3 も併せて設置することで、制震補強システム全体としての特性を抽 出することを目的としている。 ｂ）実験概要 実験に使用した試験体の立面図及び平面図を図 1-1-1 及び図 1-1-2 に、構成する主な部 材の寸法、含水率及び樹種を表 1-1-1 に示す。 重り …水平変位計測位置 桁梁 組物 頭貫 反力壁 大引 アクチュエータ 計測フレーム 振動台 図 1-1-1 立面図 図 1-1-2 平面図 表 1-1-1 部材断面および樹種 部位 断面（幅×成）[ ] 含水率[ ] 樹種 mm % 柱 360 φ 20.3 桁梁 215 ×300 26.3 ベイマツ 頭貫 × 200 218 21.3 大引 × 200 228 19.9 試験体は、4 本の丸柱と大引・頭貫・組物及び桁梁で構成されている。部材の接合部は 釘などを使