气管支喘息と可视总合光线疗法-光线治疗.pdfVIP

気管支喘息と可視総合光線療法 一般財団法人光線研究所所長 医学博士 黒田一明 可視総合光線療法は、気管支喘息（以下、喘息）など呼吸器疾患にもよく 利用されています。呼吸器疾患は、体の冷えやビタミンＤ不足により免疫機 能が異常になると発症しやすく な ります。光線療法は、不足した熱・光エネ ルギーを補うことで喘息などの呼吸器疾患の改善をはかることが出来ます。 ビタミンＤに関しては本年報告された英国の研究によると 65 歳以上の高 齢者で血中ビタミンＤ濃度が低いと喘息など呼吸器疾患リスクは２倍以上高 くなることが示されています。 今回は喘息の文献紹介と治療例について解説します。 ■喘息とは（出典：リウマチ・アレルギー情報センター） 喘息は、気管支などの気道に炎症が起き、空気の流れが制限される病気で す。気道は様々な吸入刺激に過敏に反応して、発作的に咳、ゼーゼーと気管 支が鳴る喘鳴、呼吸困難が起きます。ひどい呼吸困難時には呼吸を楽にする ため上半身を起こした姿勢での呼吸（起座呼吸）を行わせることがありま す。 16歳以上の成人喘息患者の年齢構成は 50歳代を中心に40歳 60歳 の中高年齢者の患者が多い構成です。20歳前から発症した患者は小児発症喘 息でアトピー型で、他のアレルギー疾患を合併しており、多くは軽症です。 吸入された家塵ダニ、カビ、花粉などにIgE抗体が反応して発作が起こりま す。一方 40歳以降からの喘息は成人発症喘息で、非アトピー型でステロイ ド薬を常用することが多く、重症ではアスピリン喘息の患者が多いという特 徴があります。アレルギーではないメカニズムの炎症によって発症します。 ■喘息とビタミンＤ濃度、日照量などの関連文献について 最新の文献で主なものを以下に紹介します。 ◆喘息の発生率と緯度、冬期日照量、冬期気温の関連（米国・オースト ラリアの研究2011 年） 米国・オーストラリアで得られたデータから、喘息の発生率と緯度、冬期 日照量、冬期気温の関連を検討した。その結果、喘息発生率は①緯度が高 いほど高いこと ②冬期日照量が少ないほど高いこと ③冬期気温が低い ほど高いことがそれぞれ判明した。これは以前から指摘されている緯度が 高いと日照量が減りそれに伴って皮膚でのビタミンＤ産生が減り免疫系が 異常になり喘息になりやすいことを支持する成績であり、ビタミンＤ不足 は喘息の悪化・再燃に関連することが示唆された。 ◆成人喘息患者におけるビタミンＤ濃度と呼吸機能、ステロイドの反応 の関連について（米国の研究2010 年） 成人喘息患者の血中ビタミンＤ濃度は１秒量と相関し、血中ビタミンＤ濃 度が低いと１秒量が低いことが明らかになった。さらにビタミンＤ濃度が 低いと気道の過敏性が高く、ステロイドの反応が悪いことが示された。こ れは血中ビタミンＤ濃度が肺機能や喘息のコントロールに影響を与えるこ とを示している。〔 １秒量：肺機能検査の一つでで１秒間に肺活量のうち どのくらいを吐き出すことができるかを、何リットルで表した値です。こ -1- の値が少ないときは、吸った息を吐き出す力が弱いことを示し、喘息のコ ントロールの指標でよく使われます。〕 ◆児童の喘息患者における血中ビタミンＤ濃度と喘息コントロールの関 係（イタリアの研究 2011 年） ５～11歳の喘息児童75人を対象に、血中ビタミンＤ濃度と呼吸機能、喘 息コントロール状態との関連を検討した。その結果、血中ビタミンＤ濃度 が低いと喘息のコントロールは悪かった。同様に ドイツの研究2013年 に よると成人の喘息患者でも血中ビタミンＤ濃度が低いほど重症であり、喘 息のコントロール状態が悪いと報告されている。 ◆重症成人喘息患者では炎症を起こすサイトカインが高く、ビタミンＤ の投与はこれらを下げる（ドイツの研究20