脳室帯细胞移制御大脳皮质形成.docVIP

「脳室帯からの細胞移動制御と大脳皮質形成」 福井大学?医学部　形態機能医科学講座 組織細胞形態学?神経科学領域　　佐藤　真 大脳皮質の脳室帯にて生まれた興奮性神経細胞は、将来の層への運命付けがなされ、深層から浅層の順に、つまりVI層となる細胞からII層となる細胞の順に、脳室帯から皮質板へと法線方向に移動し大脳皮質を構成する。従来、その移動開始を制御する原理は不明であったが、我々は、細胞移動開始が負の制御機構により調節されていることを見いだした。すなわち、我々は大脳皮質脳室帯に発現する新規分子FILIPを同定し、FILIPが細胞移動に必須のアクチン結合蛋白フィラミンAの分解を促進することで、大脳皮質脳室帯からの細胞移動開始に対し負の制御因子として働くことを明らかとした。本研究においては、細胞内の分子の局在の可視化が重要なポイントであった。加えて、細胞形態、分子の細胞内局在のイメージングの重要性を示す例として、最近得られた、フィラミンAが移動中の細胞の形態制御に重要であること、またフィラミンAの細胞内局在調節が、細胞移動開始、移動形態制御に重要であるとの知見も併せて紹介する。  「痛覚と可塑性：神経活動のイメージングによる解析」 福井大学?工学部　知能システム工学科　村瀬一之 痛みは生体の防御?警告系としてその生存に不可欠であるが、その系の働きによって慢性痛や幻視痛などといった病態も生じてしまう。皮膚や筋肉、内臓などで発生した痛みの信号は、まず脊髄に伝えられる。近年、脊髄はそれを脳にリレーする中継所として働くのみならず、痛みの経験を記憶し、また、痛みを長期間にわたって増幅したり逆に抑制しつづけるような働きを持つことが明らかになってきた。そのような神経伝達の長期にわたる変化にグリア細胞が関係していることを中心に、痛みと神経可塑性について神経活動の電位色素によるイメージングで得られた最近の研究成果について述べる。 「代謝活動を介して神経活動を見るー内因性信号の起源と脳研究への適用ー」 理化学研究所?脳科学総合研究センター　谷藤　学 特定の機能を持った細胞集団の空間的な配列や感覚刺激に誘発される神経活動の空間パターンから脳機能を解明する研究が進められている。内因性光信号のイメージングはそのための有力な手段である。この方法では、露出した脳表面をある波長の光で照明し、脳表面の明るさの神経活動に伴う変化を映像として検出する。神経活動に伴って起こる内因性信号、すなわち、ヘモグロビンの光吸収変化や組織の光散乱特性の変化が、この方法によって検出できる。 大脳皮質のカラム構造の構築や感覚情報の脳内表現はこの方法によって明らかにされてきた。しかし、脳表面の反射光の計測には、機能に関する深さ方向の情報が失われてしまうという欠点がある。OCTはその点を克服するよい手法である。また、OCTは光の散乱に敏感であるので、神経活動に伴う組織の光散乱特性の変化の検出に適している。実際、私たちはOCTによって特定の深さの神経活動を局在する光散乱の変化として捉えることに成功した。 本講演では、（１）内因性信号の起源とそのイメージング法、（２）視覚連合野における物体像の表現の問題を例に、その手法が脳機能の理解に与えるインパクト、そして、（３）２次元の機能イメージング技術を３次元機能イメージングに結びつけるｆOCTについて解説する。 「新規アルツハイマー病診断 -アミロイド イメジング-」 東北大学?先進医工学研究機構　高度情報通信分野　工藤　幸司 アルツハイマー病（ＡＤ）特有の病理像、すなわち、βシート構造をとったアミロイドβ蛋白（Ａβ）を特異的選択的に認識する低分子有機化合物（＝プローブ）を開発し、これを標識しＰＥＴを用いてＡβの蓄積量の定量およびその空間的分布からＡＤを診断しようとするアミロイド イメジング法は、発症前診断を可能にするのではないかとの高い期待のもとに その登場が待たれており、一部臨床試験の実施されているプローブもある。演者らもまた1997年以来この課題に取り組み、いくつかの興味あるプローブ群を見いだしている。講演では演者らおよび競合研究者のプローブの特徴および現状さらに波及効果等について紹介したい。 「脳梗塞に対する血管再生療法」 兵庫医科大学?医学部　総合内科学（神経?SCU科）　松山　知弘 血管血球系幹細胞移植による血管再生療法を用いた脳梗塞治療の基礎的検討の目的で、マウス脳梗塞モデルを用いて、脳梗塞作成後2日目にヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を静脈内移植した。移植マウスでは梗塞２週間目以降に梗塞周辺部における血管再生と神経再生が促進され、同時に神経機能も回復した。梗塞周辺部には神経幹細胞も認められた。これらの効果はCD34陰性細