第Ⅳ章 わが国の知識・情報・通信産業（各論）_11488.docVIP

Ⅳ章　わが国の知識?情報?通信産業（続き）Ｂ．電気通信（テレコム）産業　（分類）知識?情報?通信産業　　　　　　　ネットワーク型情報伝達産業　　　　　　　　　文書通信（郵便、宅配便等）　　　　　　　　　電気通信　　　　　　　　　 境界ケースもあり（fax）　　　　　　　他のネットワーク産業（電力?交通）（定義）電気的手段（有線および無線）によって他者間の情報伝達を媒介する業務にたずさわる産業（放送を除く。ただし、通信と放送の境界は不明確になりつつある。）　（社会的機能）社会経済システムの中枢神経系　　　　　生体システムとのアナロジー 人　間 社会経済システム消化系循環系神経系製造工場（原料）エネルギー?電力?交通電気通信、放送 動物の神経〈有機体〉とのアナロジーは虫類神経疎いほ乳類神経密　　　　　歴史段階、発展段階、動物進化段階とのアナロジー 歴史段階発展段階 動物進化段階江戸?明治時代途上国ほ乳類現代日本人間　（種類：＊は1970年以前からのもの）　　　　　電気通信のサービス　　　　　　　電信（テレックス）＊　　　　　　　電報＊　　　　　　　電話（アナログ、有線?無線）　　　　　　　　　音声?市内電話＊　　　　　　　　　ファクシミリ　　　　　　　　　データ通信（アナログ）　　　　　　　　　　　コンピュータ?端末結合、電子メール　　　　　　　ディジタル通信（有線?無線）　　　　　　　　　電話幹線（市外電話）（ラジオ?テレビ放送の仲介）、ディジタル電話　　　　　　　　　データ通信　　　　　　　　　総合ディジタル網（OCN、オープン?コンピュータ?ネットワーク）　　　　　　　移動通信（アナログ、ディジタル）船舶電話列車?自動車電話航空機電話携帯電話――最近急速に成長（セルラー、ディジタル?セルラー、PHS（PCS））　　　　　　　サービスパソコン通信、インターネット、ビデオ配信１．わが国電気通信産業の歴史　いずれの国においても、電気通信インフラストラクチュアの建設は、経済の発展と社会の安定のための必要条件である。経済成長、技術進歩、社会組織の形成、そして分業の進展は、われわれ社会の諸活動の維持?発展に必要な情報伝達量を増大させる。現代社会における電気通信網は、距離と時間の制約を超えて人々を結び付けるものであり、生体における神経網と同様の役割をはたしている。電気通信網の重要性は、今日もしそれが利用不可能になった場合、電気通信網を利用して実行するのと同様の活動を続けるためにどれだけの経費を必要とするかを考えてみれば明かであろう。　わが国における電気通信網の建設は、明治年間に始まり、第二次世界大戦時に半数が焼失した。しかし、1950年代以降急速に整備され、1980年代初めまでに、（自動ダイヤル化を含む）全国ネットワークがほぼ完成した。1950年以降の約30年間に、わが国の電気通信網は、途上国のレベルから世界の先進国のレベルまで成長したのである。わが国社会における他のインフラストラクチュア（交通、住宅、その他の公共システム施設）と比較したとき、電気通信網の成長率は群を抜いて高い。とりわけ、石油ショックと景気後退が続いた1970年代中葉において、電気通信網の成長が加速されている点が顕著である。1889（明治23）年、政府により、東京?横浜間に電話交換開始。　　　　　　　　　　政府によって運営される国家事業として発展してきた――戦前?戦中は軍事的側面を重視。1935（昭和10）年、政府予算一般会計から通信事業特別会計として独立。1945（昭和20）年、第二次大戦終了。電話の約半数が戦災で失われる。1948（昭和23）年、電話公債引受制度開始（電話需要の『積滞』への対応策）。法定電話料金制度の開始。1952（昭和27）年、電気通信省電気通信事業特別会計から、日本電信電話公社（旧NTT）として独立（国の運営する会社、予算は国会の承認を要する。人事などは政府が監督?許可する）。国際電信電話株式会社（KDD）をNTTから分離?発足。1962（昭和37）年、長距離ダイヤル市外通話はじまる（以降は交換手による手動）。1968（昭和43）年、ポケットベル開始。データ通信開始（コンピュータ用データ）（国鉄はすでに指定券のコンピュータ販売を開始）。1969（昭和44）年、プッシュホン開始。このころから情報通信技術進歩の加速はじまる（銀行オンライン）（カード）。1972（昭和47）年、音響カプラー許可（一般ユーザによるデータ通信の開始）。1980（昭和55）年、ディジタル交換?パケット交換網開始。1982（昭和57）年、テレホンカード使用開始。1985（昭和60）年、旧NTTは民営化されて、日本電信電話株式会社（現NTTとなる