肺循環の臨床 その歩みと現況.pdfVIP

昭 和47年4月 3:381 綜 説 肺 循 環 の 臨 床 -その歩み と現況- 原 沢 道 美 ＊ もに,右心カテーテル法の応用によって心拍出 は じ め に 量の測定のみでな く,いわゆるcentral血液 肺循環に関す る臨床的研究は,測定機器の進 量が測 られ るよ うになった. 歩 とともにここ10数年来 きわめて活発 とな り, 他の血管床 と同 じく,肺 を流れ る血流は,そ 多 くの知見が加 えられてきた.そ して現在,肺 の駆出圧(流 入部 ・流出部の圧差)に よって規 循環障害の診断面においてはほぼ満足すべき状 定 されているが,肺循環系のよ うな低圧系にお 態にまでたち至ってい るが,その成因,病態生 いては,その駆出圧 は流出部の圧である肺静脈 理,治療法な どの解 明については,なお今後の 圧 によって大 きく影響 され る.上述の右心 カテ ーテル法で, カテーテルの尖端 を肺動脈 内に侵 検索を待たねばな らない点が少な くない.それ らを明らかにす るために,以下肺循環の臨床的 入 させ ることにより,肺動脈圧 は直接測定 され 研究の歩み とその現況について少 しく解説を加 るようになったが,肺静脈圧 を知 る手だて とし えてみたい. てこの場合肺動脈wedge圧の測定が広 く行 な われていた. しか しその測定値 には種々の問題 1.臨床 的検 索へ の アプ ローチ 点の存在す ることが動物実験により指 摘 せ ら 右室 と左室の間に存在 し,しか も胸郭のベー れ,それ とともに直接左心房圧 を測定 しよ うと ルにより深 くおおいか くされ て い る肺循環系 す る試みが種々検討 された.そ して1959年カテ に,は じめて臨床的観察の手がか りが得 られ る ーテル尖端を心房中隔を経て左心房に挿入す る よ うになったのは,1941年Cournandらにより ことにより,比較的安全に, しか も数時間にわ 右心カテーテル法が開発1)されて以来のことで たって左心房圧を測定す ることがで き る よ う ある. な,左心カテーテル法が開発せ られた4).それ 測定機器の開発 とあいまって,それにより肺 とともに,指示薬稀釈法に右心お よび左心カテ 動脈圧の連続的測定が可能 となった のみ で な ーテル法を応用す ると, central血液量 とい う く,混合静脈血が得 られ るよ うにな り,Fick法 あいまいなものではな く,肺血量をより正確に を用いてある断面における心拍出量がほぼ正確 測定す ることが可能 となった.すなわち,指示 に測定 され る2)ようになった. この場合心拍出 薬 を肺動脈 に注入 して左心房か ら採血す るか, 量は肺血流量 とほぼみなす ことができる.また ま