航行安全および潮流発電から見た大畠瀬戸の潮流特性に関する基礎的研究.pdfVIP

Ⅱ－1 航行安全および潮流発電から見た大畠瀬戸の潮流 特性に関する基礎的研究 正会員 ○笹 健児（広島商船高専） 非会員 清水聖治（大島商船高専） 非会員 古賀英司（大島商船高専） 非会員 藤井雅之（大島商船高専） 1. 研究の背景・目的 が観測している安下ノ庄および久賀の水位データを 山口県の大畠瀬戸は全国でも有数の急流場所とし 使用し、大畠瀬戸の潮流特性を求めた。Fig.2 に潮流 て知られている。しかし、当該海域は来島海峡や関 の観測位置における2 月22 日～3 月21 日における 門海峡ほど船舶通航量が多くないこともあり、潮流 流速の変動特性について実測および計算値の比較結 信号所などによる時々刻々での潮流情報も提供され 果を示す。これより観測位置での 1 ヶ月間で発生し ておらず、通航船舶は経験的に潮流影響を予測しな た流速の傾向は大潮時で4～5 ノットであり、計算値 がらの操船が求められる。現状では海上保安庁のホ は概ね十分な精度で実測値を再現できている。計算 ームページから配信される潮流予報値が唯一の情報 された大畠瀬戸の空間的な潮流特性より、当該海域 源であるが、瀬戸内海全体の広域な海域での計算値 では流向、流速が一様でない非常に複雑な流れが卓 のため、数100 メートル規模で変動する詳細な潮流 越していることも分かった。この点を踏まえ、潮流 特性は未知である。2008 年3 月に発生したケミカル 中の航行安全、潮流発電への可能性についてシミュ タンカーの大島大橋への衝突事故は、当該海域の潮 レーションをもとに新たな理論体系を構築した結果 流特性を把握していない外国船などが航行するには を本発表にて報告する。 渦流の発生傾向など詳細な情報分析の必要性を示唆 している。一方、著者らはエネルギー問題の観点か 0 5km Iwakuni ら大畠瀬戸にて再生可能な潮流発電の拠点としても N 検討している。しかし、大畠瀬戸にて潮流データが Collision of Chemical Tanker 連続観測され、海域全体での潮流特性を分析した事 例は著者らの知る範囲では存在しない。本研究では Yanai ◎ ● Obatake Seto 大畠瀬戸にて潮流の現地観測を実施し、潮流特性を Suo Oshima 整理した。さらに数値シミュレーションにより実測 値との検証を行い、海難防止および潮流発電の観点 Observation